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第1941話

「ありがとう! 兄上と死合い観戦なんて久しぶりだな。楽しみだ」 「ふふ、私も楽しみだよ。でもあくまで今回は魔剣士のお勉強だから、あまりはしゃぎすぎないようにね」 「あ……そ、そうだな。うん、わかってるよ」  そう頷きつつ、アクセルも兄の隣で素振りを行った。兄と一緒にトレーニングするのも久しぶりで、これも実に楽しかった。 ***  翌日、アクセルは魔剣士の死合いとやらを見に行った。  兄が予約してくれたボックス席に座ったのだが、視界を覆うように透明な板が張られていて少しびっくりした。 「……何だこれ? こんなの前までなかったよな?」 「なかったね。魔剣士の魔法対策で設置したのかも。他の席にもアクリル板みたいなのが、つけられてるし」 「そうなのか? どんだけすごい魔法なんだよ……」 「観客にも影響が出るくらいの魔法ってことでしょ。これは冗談抜きでヤバい死合いになるかもね」  そんなことを兄に言われ、アクセルは顔を引き攣らせた。  どういう魔法が飛び交うんだろう……と楽しみ半分、不安半分で待っていたら、戦士入場口から一人の戦士が出てきた。身の丈以上の大剣を背負った、鎧武者だ。 「あれ、アロイス……? 今日の死合い相手、アロイスだったのか」 「そうみたいだね。お前の友達、魔法相手にちゃんと戦えるかな?」 「アロイスなら大丈夫だろ。俺と同じくらい強いし。そう簡単にはやられないさ」  安心していたら、反対側の入場口から相手の戦士も入って来た。  ――あれが噂の魔剣士……なのか?  姿かたちは普通の戦士とあまり変わらない。中肉中背の若者で、手には鞘に入った長剣を持っていた。装備も軽装だし、そこまで強そうには見えない。  あの出で立ちなら、アロイスの方が明らかに強そうなんだけどな……と思っていると、上空からヴァルキリーのアナウンスが聞こえてきた。 『ただいまより、アロイスVSドラコの死合いを行います。両者、位置についてください』  アロイスとドラコとやらが指定の位置につく。ここまでは特におかしなことはなかった。

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