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第1951話

「ああ、いいね。お前の死合い、五日後だったっけ。できればその前に訪問したいよね。対魔法の武器はあるとはいえ、ある程度の知識は必要だし」 「ああ、そうだな」  昼食後、アクセルは早速バルドルに手紙を送った。  魔剣士がやりたい放題していて困っています……みたいな旨を綴ったら、翌日の朝には返事がきた。そういうことなら大歓迎、いつでもおいで……と書かれていた。死合い前に会えそうでホッとした。  市場で卵や牛乳等の材料を買い、夜のうちにオレンジケーキを作っておいた。  それを手土産にバルドルの屋敷に向かった。  世界樹(ユグドラシル)を通ってバルドルが住むアース神族の世界(アースガルズ)の一画までやってきたのだが、屋敷の正門前で何やら少し騒ぎになっているようだった。 「……いや、それはさすがにね。私の立場上、協力するのは難しいかな」 「バルドル様の立場は我々も十分承知しております。ですが、ヴァルハラはアース神族の世界(アースガルズ)の一部です。あそこが乱れると、回り回って我々の世界にまで影響を及ぼす可能性があります。この辺りで一度、戦士(エインヘリヤル)たちを総入れ替えすべきなのです」  どうやらバルドルとヴァルキリーの一人が口論しているようだった。しかも内容もかなりきな臭い。  アクセルとフレインは、気付かれないようにこっそりと様子を窺った。  バルドルは苦い顔で軽く首を振った。 「そうかな。今のヴァルハラを見る限り、そんなに治安は乱れていないと思うよ。数十年前ならいざしらず、今は何だかんだ問題なく運営できているんだろう?」 「いいえ、問題は常に多発しております。言うことを聞かない戦士(エインヘリヤル)が多すぎますし、何かというと我々に反抗してクレームをつけにくるのです。上位ランカーに至っては、下の子たちを殺してしまったりもします。こんな野蛮な連中が増えてしまったら、いずれ革命が起こってしまうかもしれません」 「革命ねぇ……」

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