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第1952話
「革命が起きたら、我々も無関係ではいられません。アース神族の世界 の平穏を守るため、バルドル様にもご協力を賜りたいのです」
自分たちに都合のいいことばかり主張しているヴァルキリー。
あまりに勝手な言い分に、聞いていてだんだんイライラしてきた。
「何が野蛮だよ……。あんた達がちゃんとヴァルハラを管理しないから、クレームが多発しているんじゃないか。自分の仕事を棚に上げて、こっちの避難ばかりするなよ」
「ホントにねぇ……。ヴァルキリーたちはどこまで行っても、『ヴァルハラは私たちが管理してやっている』って意識が抜けていない。そのくせ常にこっちを見下してるから、余計に始末に負えないよ」
「そもそも俺たち、ヴァルキリーに見下されるほど弱くないぞ。決闘になってもちゃんと戦えるはずだ。なのに何でそこまで下に見られないといけないんだ?」
「うーん……やっぱり出自の違いかな。ヴァルキリーはあれでもオーディン様の娘って扱いだけど、戦士 は元人間だからね。大多数の戦士は、ヴァルキリーにとって見下す対象でしかないんだと思う」
「……そんな理由かよ。まったく、出自しか誇れるものがないってのも哀れな話だよな」
呆れ果てていると、バルドルが再び苦い顔になった。顎に手を当て、首をかしげて考える素振りをする。
「協力と言われても、私にできることなんてほとんどないよ。そもそも私は、ヴァルハラの戦士 とそんなに関わっていないし、わざわざ釘を刺しにこなくても大丈夫」
「それでも、定期的に訪問しにくる戦士はいるでしょう。今後はそういった戦士との関わりも断ち、我々のヴァルハラ運営にも協力していただきたいのです」
「……それ、矛盾してないかな? 戦士との関わりを断って欲しいなら、ヴァルハラ運営に関わっちゃダメじゃない?」
「その二つは別物として考えてください。とにかく、バルドル様を訪ねてくる戦士とは今後一切関係を断つように。わかりましたか?」
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