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第1954話
隠れていたところから出て行って、ひとまずバルドルに挨拶する。
「バルドル様、こんにちは。お久しぶりです」
「ああ、いらっしゃい。見苦しいものを見せてしまったかな」
「いえ、それは大丈夫です。しかし、ヴァルキリーがバルドル様のところにまでやってきていたとは……」
するとホズが、苛立たしげに剣を鞘にしまった。
「今のヤツが来たのはこれが初めてだが、二度目はない。まったく……兄上にあんな態度をとるとは無礼なやつめ」
「というか、ヴァルキリーって誰に対してもあんな上から目線なんですね……。ああいうのは俺たち戦士 に対してだけだと思っていました」
「だから中身が子供なんだよ。兄上がさっき言っていただろう。元々ヴァルキリーどもは幼い頃から専用の施設で囲われて育つんだ。非常識なヤツらが量産されるのも納得だな」
「そ、そうなんですか……」
道理で受付に座っているヴァルキリー然り、どいつもこいつも似たようなタイプの女性ばかりになると思った。
個性が出て来るのは上位にいる一部のヴァルキリーだけで、その他は本当に有象無象なのだろう。
「そんな話をしても仕方ないよ。さ、中に入ろうか。食堂にお茶とお菓子を用意してあるよ」
バルドルの案内で食堂まで通される。
食堂の大テーブルには品のいいアフタヌーンティーセットが用意されていて、様々なお茶のみならずクッキーやマフィン、サンドイッチまでもが揃っている。
「久しぶりに遊びに来てくれると思ったら、頑張って作り過ぎちゃった。好きなだけ食べて行ってね」
「あ、ありがとうございます……。それとバルドル様……これ、差し入れのオレンジケーキです。昨日作りました」
「えっ、手作りなの? わざわざありがとう。じゃあみんなで食べようか」
バルドルが人数分にケーキを切って、皿に乗せて持ってきてくれる。
一ホールを四人で分けたので、一切れが随分大きくなってしまった。もっと小さいケーキにした方がよかったかな。
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