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第1955話

「それで、今ヴァルハラでは魔剣士とやらがのさばっていて大変なんだって?」  お茶を飲みながら、バルドルが話を振ってくる。  アクセルはティーカップを置き、背筋を伸ばしてバルドルを見た。 「ええ、そうなんです。実はこの間も……」  現在ヴァルハラで何が起きているか、詳しく話して聞かせる。  魔剣士が与えられた魔法でやりたい放題に死合いを掻き回していること、そのせいで友人(アロイス)が再起不能ギリギリまで追い込まれてしまったこと、ついでに上位ランカーに対する態度もひどくて完全に舐めきっていること……云々。 「……何だか、思った以上に深刻だね? そんな被害が出ているの?」 「ええ。昨日なんか、お説教したことを根に持たれて後をつけられました。ヴァルキリーが容認していることもあり、調子に乗りまくっていますね」 「でも話を聞く限り、与えられた魔法で無双しているだけなんでしょう? そんなの、魔法の供給源を断ってしまえば一発で解決しそうなものだけど」 「魔法の供給源、ですか……?」 「そう。どんな魔法にも、力の源となるものは存在しているんだ。他人の魔法を借りている場合はその源泉というか、大元となる場所が必ずどこかにあるんだよ。実際、ヴァルハラにもオーディン(父上)が作った棺があるでしょう? あれは父上の力を源としているから、棺の機能をどうにかしたかったら父上に直接お願いするのが一番なのさ」 「な、なるほど……」  要するに、その魔法の源泉とやらをどうにかしてしまえば全て解決するということだ。  アクセルは身を乗り出し、その源泉がどこなのかを聞こうとしたのだが、 「……ただ、魔法の源を特定するにはそれなりに時間がかかる。アクセルの死合いは三日後だっけ? それまでには特定できないかもしれないんだ」 「そ、そうなんですね……。いやでも、それでも俺は構いません。特定していただけたら、後は自力で何とかしますので」 「いいよ。じゃあ、彼らが使った魔法の痕跡を何か用意してくれるかな?」 「……えっ?」

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