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第1961話
「その棺も、今は順番待ちだけどね……。こんな、数百人規模の被害が出たのは初めてだからさ……」
言葉を失くしていると、チェイニーは弱々しい口調で続けた。
「……ダラダラ喋っている元気もないから、起こった事実だけ話すね。魔剣士たちが複数人で住宅街に魔法をぶっ放して、この辺り一帯を焼き払ったんだ。死傷者多数。無傷で住んだ戦士もいるけど、比較的綺麗な人は戦利品代わりに魔法の檻に入れられて現在連行されているところだよ」
「連行されているところ……? ということは、まだあいつらが近くにいるのか?」
「いる……けど、この状況じゃどうにもできなくてね。戦っている場合じゃないし、そもそも場外乱闘はごく一握りの上位ランカー以外ご法度だし……」
それを聞き、アクセルはチェイニーを置いて駆け出した。この場に至っては、救助活動より魔剣士をとっちめることの方が大事だと思ったのだ。
――これだけの被害を出したくせに、綺麗な人は戦利品代わりに連れ帰る!? 何考えてるんだアイツら……!
ただただ怒りが収まらず、彼らの気配を辿って後を追いかける。
魔剣士たちの集団はすぐに見つかった。
山車 のような特殊な檻をゴロゴロ引っ張りながら、上機嫌に騒いでいるところだった。檻の中には二、三人の中堅ランカーがいて、皆顔色が悪くぐったりしている。
「お前らちょっと待て!」
いても立ってもいられず、アクセルは魔剣士の集団を制止した。
彼らのうち数名がこちらに気付き、何事かと振り返ってくる。その中には先日アロイスを燃やし尽くしたドラコもいた。
「あっ! お前はこの間オレに喧嘩を売ってきた生意気な戦士!」
「そんなことはどうでもいい! さっさとその人たちを解放しろ!」
「はあ? 何でお前にそんなこと言われなきゃいけないんだよ。お前には関係ないだろ」
「関係ないわけないだろ! 被害を受けた戦士の中には、俺の友人もいるんだよ! だいたいあんな無差別な殺戮をやらかして、一体何のつもりなんだ!? 人の心とかないのか!?」
そう怒鳴りつけたのだが、ドラコはさも面倒臭そうに地面を蹴った。
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