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第1964話
ドラコがこちらに魔法の武器を向けてきたのが横目で見えたが、
――当たるかよ、そんなもの!
巨大な火球が飛んでくるのを目視で避け、ドラコに飛びかかった。
今度こそ首を落としてやろうとしたのだが、横からイーサンが鞭らしきものを飛ばしてきた。
回避や防御は間に合わないのでダメージ覚悟で突っ込んでいく。狂戦士モードなら痛みを感じないので、さほど問題はない。
「っ……!」
だが鞭を喰らった途端、急に身体が動かしづらくなった。
全身に妙な痺れが走り、間接に詰め物をされたように曲げ伸ばしができなくなって、おまけに身体そのものもズシーン……と重くなってくる。
――まさか、麻痺してる……!?
武器を握る手にすらも力が入らなくなり、アクセルはギリッと奥歯を噛み締めた。
先程のイーサンの攻撃は、麻痺が付与しているものだったのか。相手を麻痺させる攻撃なんて、反則もいいところだ。
まだ二人しか倒していないのに、こんなところで動きを止められるなんて……!
「ぐ……ぎ……」
動けないながらも何とか小太刀を振り、目の前にいるドラコに斬りつける。
いつもの風の刃すら出なくなっていて、無様に空振りするのをすぐ近くで嘲笑された。
「ったく……あぶねぇな。動けねぇくせに、無駄に足掻くんじゃねぇよ」
「ぐ……」
「なあイーサン、こいつさっさと殺しちゃおうぜ。これ以上生かしておいたら危ねぇよ」
「いや待て。この手のタイプは、ただ殺すだけじゃ何も後悔しねぇ。存分に凌辱して屈辱を与えて、死にたくなったところをじわじわ拷問していかないとな」
「っ……」
そんなことを言われ、反射的に身体が強張った。
殺すのはともかく、凌辱して屈辱を与えるっていうのはやっぱり、そういう意味だよな……? 先程中堅ランカーの身代わりになれと言われたし、こいつら全員でいかがわしい拷問をするつもりってことだよな……?
――そんなの、絶対御免だ……!
アクセルは近づいてくるイーサンを睨みつけた。
くそ……! こんなヤツ、身体さえ動けばすぐに倒せるのに……!
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