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第1969話

「本当にね。結構な実害も出てるし、一度真面目に会議した方がいいかもしれない」  兄も同調して頷いた。  が、その後すぐににこりと微笑み、こんなことを言い出した。 「まあでも、しばらく死合いがないなら焦って準備する必要もなくなったわけだ。魔力の源がわかるのは明日だから、それまでゆっくりしようよ。これ以上私たちができることはないでしょう」 「う、うーん……でも、爆心地になってた場所がどうなったかは気になるぞ。救助活動も中途半端なところで帰ってきてしまったし」 「ああ、一応帰りに泉や館をザッと見てきたけど、相変わらず満員で大変なことになってたよ。治癒や復活には一定の時間がかかるから、しばらくは混雑したままだろうね。そういう意味では、死合いが中止になってよかったかも」  死合いではほぼ確実に死者が出るから、この状況で死者を増やされても対応できない。  そう考えると、死合いを中止したのはヴァルキリーにしては珍しく英断だったと言える。  兄は続けた。 「それに、あんなに一度に泉や棺を利用されたら、オーディン様の魔力もかなり削られちゃうんじゃないかな。枯渇とまではいかないけど、身体への負担はすごいと思うよ」 「た、確かに……。いつも当たり前に使わせてもらってるけど、あれってオーディン様の魔法の一種なんだよな……」 「そう。だから魔剣士はもちろん、そもそもの原因を作ったヴァルキリーたちも厳罰は避けられないと思うね。ここまでやっちゃったら、さすがにお咎めなしとはいかないでしょう。ヴァルキリーたちにどんな罰が下るのか、想像したらちょっと楽しくなってこない?」 「……まあ、そうかもな」  兄がニヤリと笑ったので、アクセルもつられて笑った。  今の自分にできることはほとんどないので、ひとまず家で待機することにした。  血で汚れた服を手洗いし、ハチミツ入りレモン水を作り置きし、家の掃除をする。久しぶりに服を手洗いしたら、あまりに大変すぎて少し辟易してしまった。血の汚れが全然落ちない。

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