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第1971話
腹を立てながら家に戻って、食事の支度をする。
無心で食材を切り刻んでいたのだが、何をしていても中堅ランカーたちのことが頭から離れなかった。死傷者はもとより、運よく無傷で済んだ人も今日はどこで寝るのだろう。食事はどうするのだろう。明日からの生活はどうするのだろう。
そういった諸々のことが気になって、なかなか平常心ではいられなかった。アロイスが復活できるかも気になるし、チェイニーがどうなったかも知りたい。
「気にしすぎもよくないよ」
と、兄が声をかけてくる。
「誰にでも優しいのはお前のいいところだけど、今回ばかりは自力でどうにもできないことが多すぎる。あまり考えすぎてもストレスになるだけだから、私たちはなるべくいつも通り過ごそう。それに、バルドル様が魔力の供給源を突き止めてくれれば、このカオスな状況も解決するだろうし」
「……まあな」
「魔力の供給源を潰したら、とりあえずオーディン様にヴァルキリーの所業を訴えに行こうね。それで今までの言動を全部暴露して、ヴァルハラの自治権をこっちに譲渡してくれないか頼んでみよう。革命起こすのも楽しそうだけど、頼んでどうにかなるならそっちの方が手っ取り早い」
「ああ、わかった」
出来上がった食事をテーブルに並べ、庭にピピ用の野菜スープを持って行く。食材が足りなかったので干し肉で出汁をとったり小麦粉の団子で嵩増ししたりと、だいぶごまかしてしまった。大食漢の兄にとっては質素な食事だろう。
――まったく……兄上が空腹で倒れたらどうするんだ。
一人でむくれていたら、また兄に窘められた。
仕方なくアクセルは、翌日に備えて早めに就寝することにした。
***
翌日。早速アクセルはバルドルの屋敷を訪ねた。
本当は兄も一緒に行くはずだったのだが、世界樹 を通りかかった時にユーベルに止められてしまったのだ。
「こんなところにいたのですね、フレイン。弟くんと遊ぶのは後にして、あなたも救助活動を手伝いなさい」
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