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第1972話

「遊びに行くわけじゃないんだけど。というか救助活動っていうけど、私たちにできることなんてほとんどないでしょう」  そう反論したのだが、ユーベルは呆れたように腰に手を当てた。 「何を言っているんですか。家を失くした中堅ランカーの受け入れや、食料の確保、家具や衣装の手配、仮設住宅の設置など、やるべきことはいくらでもありますよ。かくいうわたくしも、自分の城を緊急避難所として解放していますし」 「えっ? ユーベル、城を解放してたの? 意外だなぁ」 「意外とは失礼な。何かあった時に下の者を守るのは貴族の義務です。位が高ければ徳も高くあるべし。貴族として当然の振る舞いですね」 「へえ……偉いねぇ」 「あのランゴバルトでさえ、御付きの者に言われて自分の闘技場を一時避難先として解放しているんですよ? ミューはせっせと獣を狩ってきていますし、ケイジは新たな木材を調達してくれています。ジークも住宅街の瓦礫の処分を指示していますしね」 「はあ、みんな働き者だなぁ……」 「ええ、皆さん自覚がありますのでね。で、あなたは何をするのですか?」 「えー……ええと、私は……」 「……いいよ、兄上」  兄が口を開くより先に、アクセルは兄の腕を掴んだ。 「バルドル様のところには俺一人で行く。兄上は救助活動に回ってくれ」 「え、でも……。その後すぐに魔力の供給源を叩きに行くだろう? 一人じゃ困るんじゃないの?」 「そうなんだが、それとは別にうちの食料も足りなくなっているんだ。俺が出掛けている間に兄上が食料調達してくれると、すごく助かるんだよ」 「そう? でもねぇ……」 「いざとなったらホズ様について来てもらうからさ。それなら兄上も安心できるだろ? 俺のことはいいから、みんなを助けてやってくれ」 「うーん……」  だいぶ迷っていたようだが、最終的にはユーベルの圧に負けて救助活動に引っ張られていった。  ――よかった。「みんな働いているのに、フレイン様だけ何もしなかった」なんて言われたら、兄上の評判ガタ落ちだしな。

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