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第1973話

 そんなわけで、アクセル一人でバルドルの屋敷に来ているのである。 「意外なところが魔力の供給源になってたんだよ」  と、バルドルがテーブルに地図を広げて見せてくれた。 「結論からいうと、この採掘場の最深部ね。ここに大きな魔石があって、それが大元になっているみたいなんだ」 「え……? この場所って……」 「ヴァルハラの戦士たちが、よく武器の材料を取りに行く場所だよね? 玉鋼だっけ? アクセルも行ったことあるんじゃない?」 「え、ええ……もちろんありますが……」  アクセルは食い入るようにその地図を見つめた。  例の採掘場だったらこの間行ったばかりだし、何なら最深部の魔石もしっかり見覚えがある。  ――あれが魔力の供給源だったのか……!? あのやけにキラキラした洞窟には、そういう秘密があったのか……!  知らなかったとはいえ、あの場で魔石をどうにかしてこなかったのが今となっては悔やまれる。  何だか怪しいなと思ったからギリギリで触るのは止めたけど、あそこであの魔石を持ち帰っていれば、ヴァルハラはあそこまでめちゃくちゃにならなかったかもしれない。そう考えると本当に悔しい。 「じゃあ、ここにある怪しい魔石を破壊してくればいいんですね?」 「そうだね。ただ、そんな重要なものが丸裸でそこにあるとも思えない。何かしらの罠が仕掛けられているはずだから、注意した方がいいよ。壊そうとした途端、変なモンスターに変形するかもしれないし」 「そ、そうですね……」  モンスターはともかく、よくよく考えたらもう一度その場に辿り着けるかどうか自信がなくなってきた。あそこは暗いし、ガーディアンもうようよ徘徊している。一人で行くのはやっぱり心細かった。 「あの、ホズ様……」  アクセルはバルドルの側に控えているホズに話しかけた。 「もしよろしければ、ご助力いただけませんか? 俺一人じゃ、また大ポカをやらかしそうで不安なんです」 「大ポカって……お前、強くなったんじゃないのか?」 「鍛錬はしてきたんですが、生まれつきのそそっかしさはどうしても拭えなくて……。それに暗くて狭い洞窟ってちょっと、その……苦手なんです……」

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