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第1981話

 仕事中に余計なことを考えてしまうのは、自分の悪い癖だ。  そんなんだから罠によく引っ掛かるし、兄にも「危機意識が足りない」などと言われてしまうのである。 「まずは目の前の仕事に集中しろ。ここから先はガーディアンも山ほど出てくる。油断していると命取りだぞ」 「はい……」  深く反省し、アクセルは前を向いた。  今は仕事を完遂することだけを考えよう。兄も上位ランカーとして救助活動を頑張っているのだから、自分も自分の役割を果たさねば。  気を取り直し、アクセルは洞窟の奥に進んだ。  案の定、ガーディアンの出現率も高くなり、レーザーランプに照らされそうになる場面が何度もあった。  隠れられる場所も限られているから、上手くやり過ごせず戦闘になってしまうこともあった(もちろん、ホズと一緒なので倒すこと自体は容易だったが)。 「……そろそろでしょうか」 「ガーディアンが増えてきている……ということは、おそらく最深部が近いんだろう。気を抜くなよ」 「はい。大丈夫です」  そこからガーディアンを躱しつつ歩き続けたら、明るく開けた場所に出た。いつぞや辿り着いた最深部だった。  壁全体がキラキラしており、魔石と思しき結晶が大小問わずたくさん露出している。 「よかった、無事に辿り着けたみたいです」 「……ここが最深部か? 思ったより派手な場所だな」 「俺も初めて来た時はびっくりしました。こんなキラキラした場所、洞窟らしくないですよね」 「それもあるが、あからさますぎるのが逆に怪しい。もしかしたらここは、本当の最深部を隠すためのカモフラージュかもしれない」 「えっ……?」  アクセルははたとホズを見た。  確かに、何度見てもここは洞窟の最深部というには派手すぎるけど、ここより更に奥に最深部があるのだとしたら一体どうやって辿り着けばいいのだろう。以前ぐるっと見て回った時は、この空間で行き止まりになっていたからこれ以上奥には進めなかったはずなのだが……。

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