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第1982話

「あの……ここがカモフラージュだとしたら、本当の最深部は……」 「それはこれから探るんだ」  そう言ってホズは、煌めきの洞窟の更に奥に進んだ。仕方なくアクセルもそれに続いた。  しばらく歩いていると空間の端に突き当たり、七色に光る巨大な結晶まで辿り着いた。  そこには手のひらサイズの石が埋め込まれており、如何にも不自然で怪しい雰囲気を醸し出している。 「これは……」 「それです、怪しい魔石。俺はてっきり、これが魔力の供給源だと思っていたんですが……」 「確かに怪しさ満点だが、供給源とは違うようだぞ」  と、ホズが懐から小さなコンパスを取り出した。コンパスの針は魔石の更に先を示しており、通常のコンパスと変わらないように見える。 「本当にこれが魔力の供給源だとしたら、この針が光ってぐるぐると回り続けるはずなんだ。だからこれは、供給源とは違う怪しい石ってことだ」 「そ、そうなんですか……。それもホズ様の小道具ですか?」 「いや、兄上に持たされた。万が一道に迷ったらこれ見て帰ってこいと」 「ああ、なるほど……。さすがバルドル様ですね」 「しかし、これ以上先に進めないとなると……」  何を思ったのか、ホズは持っていた剣の先で怪しい石をツンツンつついた。  アクセルは黙って彼のやることを見ていたのだが、ホズがおもむろに剣を振り上げて驚愕した。 「えっ!? ちょ……」  止めるより早く、ホズは剣を振り下ろして怪しい石を真っ二つに叩き割った。石は結晶の中でバキッと砕け、砂のようにボロボロと崩れてしまった。  まさかホズがそんな大胆なことをするとは思わず、アクセルは慌てて彼に近寄った。 「ホ、ホズ様……そんなことしちゃって大丈夫なんですか……!?」 「おそらく大丈夫だろう。この石そのものには、たいした魔力は含まれていない」 「でも、これが変なスイッチだったら……」  そう言いかけた時、ゴゴゴ……と洞窟全体が揺れ始めた。  今度は何だと周囲を見つつ身構えていたら、突き当たりの結晶壁がパリーンと砕け散った。 「え……?」

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