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第1987話
バリムシャと大樹を食いまくる亀。木全体が揺れ、枝先の輝く葉っぱがハラハラと散ってきた。
アクセルは慌てて亀に声をかけた。
「ちょ、そんなに食べたらマズいって。木が倒れてしまうぞ……」
「いや待て。このまま木を食い尽くしてくれた方が、俺たちにとっては都合がいいかもしれん」
「それはそうかもしれませんが……」
魔力の供給源はこの木だったはず。では、その木を全部亀が食べてしまった場合はどうなるのだろう。供給源が亀に移ったりしないのだろうか。
そういう懸念がないのなら、このまま全部食い尽くしてくれた方がありがたいのだが……。
「ほら見ろ」
「……え?」
ホズが例のコンパスを見せつけてくる。輝きながら針を回転させていたコンパスは、徐々に輝きを弱め回転も遅くなりつつあった。
「供給源の力が弱まっている証拠だな。つまり、放っておけばこの亀が全部食い尽くしてくれるってことだ」
「そ、そうなんですか……。なんか随分都合のいい展開ですが……」
「たまにはあっさり解決するのもいいだろう。洞窟は抜けてきたし、泉の水には阻まれたし、結晶を切り出すという重労働もあったしな」
「確かに……」
亀が出てきたのは予想外だったが、それなりの役割は果たした。ここまで来るのにそこそこ苦労はあったし、結果的に供給源を何とかできたのだからそれでいいのかもしれない。
「…………」
アクセルは大樹を食っている亀に目をやった。
今や木の根元は完全に食い千切られており、向こう側に倒れてしまっている。
木が倒れた後も、亀は一心不乱に食べ続けていた。
「それで、あの亀は一体何なんでしょう?」
「詳しいことはわからん。もしかしたら長い間結晶内で眠っていて、俺たちが結晶を切り出したことで目覚めたのかもしれん」
「ええ……?」
「で、起き抜けに餌の結晶が大量に積んであったから、喜んで食べたんだろう。長い間眠っていたのなら、空腹も相当なものだろうしな」
「はあ、それなら納得できなくもないですが……」
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