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第1988話
そんな摩訶不思議な亀がアース神族の世界 に存在していたのか。ホズも知らなかったようだし、まだまだ神々の世界は未知の部分が多い。
「グァァ~」
木をおおかた食い尽くして満足したのか、亀は大きくあくびをした。
そして再びのろのろと泉に向かい、ザブンと飛び込んだ。
「あっ、ちょっと待ってくれ」
置き去りにされたら帰れなくなる。アクセルたちは急いで亀の背中に飛び乗った。
そのまますいすいと泉を泳いで渡り、元の場所に戻って最初の大空洞まで引き返す。
「ンガ……」
亀は意味深にこちらを一瞥すると、のっしのっしと壁に貼りついてそのまま動かなくなった。
しばらく待ってみたのだがそれっきり反応がなく、シーン……と洞窟内が静まり返っている。
「……。……あの……もしもし? きみは結局何物なんだ?」
呼びかけても反応はゼロ。それどころか周囲の結晶と甲羅が徐々に一体化していき、壁に溶け込んで結晶そのものになってしまった。
「ええと……なんか元に戻ってません?」
「……そうだな」
「てことはこの亀、結局起きてご飯食べて寝ただけってことに……」
「そうかもしれん。平和な亀だ」
ホズも呆れてしまっているようだ。
――亀にとっては、たまたま起きた時に俺たちがいただけだったのかな……。怪物との戦闘にならなかっただけマシかもしれないけど……。
仕方なくアクセルは、軽く咳払いして話を戻した。
「そ、それで、肝心の魔力の供給源はちゃんと破壊できたんですかね?」
「できたみたいだぞ」
ホズがコンパスを見せてくれる。光って回転していた針は今やピタリと動きを止め、どことも言えない場所を指していた。
「もう反応はない。おそらく目的は達成したんだろう。安心してよさそうだ」
「よかった……。これでヴァルキリーや魔剣士たちに悩まされることはなくなるんですね」
「……魔剣士はどうか知らんが、ヴァルキリーどもはな。供給源を破壊されたら、別の場所を供給源に設定するだけのような気もするが」
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