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第1995話*

「……そうかもしれない。今日の狩り、お前がいなくてよかったと思ったし」 「えっ……? ど、どういうことだ……?」  もしかして俺が邪魔に……と焦りかけていたら、兄は口角を下げてこんなことを言い出した。 「いやね……今日一緒に狩りをしていた連中が、『これからストレス溜まったらどうやって発散すりゃいいんだろうな』みたいな雑談してて。最初は聞き流してたけど、お前に話が及んだから腹が立ってしょうがなかったんだ」 「? 話が……?」 「結論から言っちゃうと、お前とこういうことしたいって考えているヤツらが思った以上に多かったってこと」 「……んあッ!」  膨らんでいた陰部をきゅうっと扱かれ、アクセルは軽く熱を放出してしまった。喋っている最中だったから油断していた。 「は、う……」 「……お前は美形で真面目でお人好しで、そのくせ危機意識も低くて敏感だ。ちょっと触られるとすぐ感じちゃう。色っぽい顔も隠さないし、我慢もできない。そういう性質、わかる人にはわかるみたいでね。他の連中が『いつかアクセルさんを襲ってみたい』って話してるのが聞こえてさ」 「え……!?」 「私が聞いてないとでも思ったのかね。堂々とそんな話をするなんていい度胸してるよ。普段なら問答無用で斬り捨ててやったけど、今は棺も泉も満員でしかも食料も足りてない状況でしょ? 狩りの人手を削ったら違う方向で面倒なことになりそうだし、しょうがなく聞こえないフリをしてやったんだ。そのせいで余計にイライラしちゃって」 「そ、そういうことだったのか……」  道理で、どこか鬱屈した感情を溜め込んでいるように見えたはずだ。  いつもならそんな発言をした戦士はスパッと斬って気分爽快になっていたところ、それができなかったから不満が募っていたのだ。 「本当に困ったもんだよ……。お前は私の弟だって、ヴァルハラにいる戦士ならみんな知ってるはずなのに……それでもまだお前に手を出したいって発言する戦士がいるんだもん。これじゃお前を安心して外に出せないよ」 「それは……あっ!」

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