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第1997話*
「うん……泣いてるお前もとっても可愛い……ぞくぞくしちゃう……」
兄が指先でこぼれた涙を拭い、ぺろりと舐めてくる。
だが不意に笑みを消すと、こちらに覆い被さって再び腰を動かし始めた。
「でもお前、もう少し抵抗できないの? 一度挿入されただけで脱力しちゃって、また私にやりたい放題されてるじゃない」
「ひンッ! あっ、あっ! あああっ!」
「……こんなんで本当に大丈夫なのかな。ますます心配になるんだけど」
「ひあっ! んっ、く……うぅ、あぁん!」
腹の奥をゴリゴリ抉られ、感じるところをこれでもかと擦られ、目の前でバチバチ火花が散る。
ただでさえ先程からイきまくっているのに、こんな強烈な刺激を与えられては敏感なアクセルはひとたまりもなかった。
ロクな抵抗もできず、両腕を縛られたまま一方的に兄に犯され、がくがく震えながら啜り泣く羽目になる。
――でもこれ……もし俺を抱いてるのが兄上じゃなかったら……。
言われたことを元に、想像してみる。目の前の男が兄じゃなくて、名前も知らない赤の他人だったら……と。
そうなった時も、自分は本当に何もできないのだろうか。やられるがまま感じてしまい、恥ずかしい姿を曝け出し、後ろを犯されながら「もうやめてくれ」と泣き叫ぶんだろうか。
……そんなことはない。知らない男に襲われたら当たり前に反撃するし、多勢に無勢でどうしようもない時は潔く舌を噛んで死ぬつもりでいる。
というか、万が一やられたとしても気持ち悪いだけで、こんな風に脱力して感じまくることはないだろう。
愛する兄がやってくれるから我を忘れて気持ちよくなってしまうだけであり、他の男では全く効果がない。そこは自信を持って断言できる。
だからアクセルは、激しく喘ぎながらも何とか自分の意見を口にした。
「そ、れは……兄上だから……っ! 相手が兄上だから、こんな……あんっ!」
「……私だから? じゃあ、他の男に同じことやられてもちゃんと抵抗できるってこと?」
こくこくと頷き、濡れた目で兄を見上げる。
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