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第2006話(フレイン~アクセル視点)

 ――あ、やば……。  危うく反応しそうになり、フレインは慌てて深呼吸をした。  今日はもう終わり。失神するまで追い詰めたのはこちらなんだから、気絶した弟を更に犯すなんてとんでもない。  なるべく無心を保ちながら、弟の腹の中まで綺麗に洗い流した。  濡れた身体を丁寧に拭き取り、新しい就寝着を着せてやり、寝室に運び込んだ。弟のベッドは体液で汚れてぐちゃぐちゃだったので、とりあえず自分のベッドに寝かせた。  寝る前に汚れた枕やシーツを全部洗濯に回し、フレインも一緒のベッドに入る。 「アクセル……」 「ん……」  弟が何気なく寝返りを打った。今はぐっすり眠ってしまっていて、起きる気配もない。フレインのベッドにいるせいか、いつもより顔つきが安らかに見えた。  ――大丈夫だよ、アクセル……。お前のことは私が必ず守るからね……。  フレインは弟を抱き締めた。弟は少し身じろぎしたが、すぐに安心しきってこちらに身を寄せてきた。  無意識にこちらに甘えてくるところが、どうしようもなく愛おしかった。 *** 「……!」  翌朝、アクセルは外が明るくなったことで目を覚ました。時間を確認したら、朝九時を回っていた。  ――うわ、しまった……寝坊した……!  アクセルは慌ててベッドから飛び起きた。  身体は綺麗になっていて違和感もなかったが、これだけ寝坊したということはやられた疲れが残っていたということだ。  ――まったく兄上は……毎回やりすぎなんだって……。  やりたい放題やってくれるのは嬉しいけど、限度というものはある。  今度から、早起きが必要な日は控えてくれるよう釘を差しておこう。 「あ……」  急いで顔を洗って普段着に着替えたが、既に兄はリビングにはいなかった。  テーブルには朝食用のトーストと目玉焼きが用意されており、書き置きで「これ食べたら山においで」と残されている。  ふと庭を見たら、枕やシーツ、布団が干されていた。  ――……やりすぎだけど、後始末は毎回完璧なんだよな。

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