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第2012話

 仕事終わったらまたバルドル様のところに行ってみようかな……などと考えつつ、アクセルは昼食を平らげた。  そして午後も同じように獲物の肉を捌き、部位ごとに分け、配給が偏らないよう平等に分配する。  夕方頃に仕事を終え、なけなしの食料を家に持ち帰ってからアクセルは言った。 「あの……兄上、俺これからバルドル様のところに行ってくるよ」 「え、これから? さすがにそれは迷惑じゃない?」 「それはそう、だけど……やっぱり何か気味が悪いんだ。悪戯とも魔法とも思えないようなメモが自宅に湧いてくるってのはさ……」  そう言ったら、兄は苦い顔で顎に手を当てた。 「……まあ、そうだね。誰が……ってのはどうでもいいけど、寝ている間に誰にも気づかれずに家にメモを置いていくってのはちょっと気持ち悪い。不用心すぎるし」 「うん……。だから、失礼なのは承知だけど少しだけバルドル様に話をしてくるよ。もし魔法みたいなものが原因なら、俺たちは完全に専門外だからな」 「わかったよ。なら私も一緒に行く」 「……え、いいのか? 俺一人でも大丈夫なんだが」 「何が大丈夫なのさ? 何だかよくわからないものに目をつけられているかもしれないのに、お前を一人で行かせられるわけないじゃない。もし背後にいるのが実態のない化け物とかだったら、それこそ普通の武器じゃ太刀打ちできないよ。そうやって無意識にいつも油断してるから、目が離せなくなっちゃうんじゃないか」 「す、すみません……」  軽くお説教を食らい、アクセルはしょぼんと肩を落とした。  やや心配しすぎな気もするが、メモについて何もわからない以上、何が起きてもおかしくないと考えているのだろう。  確かに自分一人では対処できないことも多いから、常に兄が側にいてくれるのは心強い。 「じゃ、手土産はこれにしようか。どうせ家じゃお酒飲む気分にならないし、バルドル様なら喜んでくれるよね」  と、食料庫に保管していたワインを持ってくる。

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