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第2019話

 ――それ、遠回しな複数プレイだからな……。  いくらとんでもない問題児だとしても、いきなりそんな罰を与えるのはよろしくないだろう。  そういうことは然るべき対策をとってから――教育するなり、説得するなりしてそれでもダメだったら……の最終手段だと思う。  そもそも、普通の戦士は彼女の悲鳴を聞いただけで頭が痛くなってしまうから、複数プレイどころじゃないし。  すると兄がジロリとこちらを見てきた。 「お前、また甘いこと考えているんじゃないだろうね?」 「えっ? 甘いことって……?」 「おおかた『そういうのは最終手段』とでも思ってるんだろう? 小さい女の子を獣みたいな戦士の中に放り込むのは可哀想だとか、そういう余計な同情してるんじゃないの?」 「えっ!? い、いや、それは……」 「お前、本当にいい加減にしなさいよ? お人好しも大概にしないと、向こうにつけ入る隙を与えるだけだ。ああいう小娘は、甘い顔をしたらどんどん調子に乗ってくる。見た目が子供でも関係ない。最初から毅然と接しないとダメだよ。わかった?」 「は、はい……」  しっかりと釘を刺され、アクセルは少し視線を落とした。  ――まあそうだな。俺はいつも相手に甘くなりがちだから、気をつけないと……。  そうやって油断して、何度兄に迷惑をかけたか知れない。今度こそ余計なトラブルを招かないようにしなければ。  気を取り直し、アクセルはバルドルに聞いた。 「あの……バルドル様、メリナって変な置き手紙をすることあるんですか?」 「あるよ。ただ、メリナの手紙は時間が経つと消えるようになっているから、後で見返そうと思ってもできないんだ。これも彼女の幻術か何かなのかもね」 「そうなんですか……。じゃあ、誰かのフリをして手紙を出すことも……?」 「誰かのフリ……? それは聞いたことないけど、どういうこと?」 「いや、実は……」  アクセルはここに来た理由を説明した。  朝起きたらテーブルに置き手紙があって、まるで兄が書いたように見えた。それでメモの通りに山に行ったら、いつもと様子が違ったので慌てて引き返したこと……云々。

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