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第2022話

「どうかな。そんな話は聞いたことがないね。もしかしたら私たちだけ特別かもよ」 「特別? 何で?」 「造形が似てるからじゃない? 私たちって、バルドル様とホズ様をモデルに造られたんでしょう? だから他人事に思えないのかもよ」 「……!」  そう言えばそうだった。  透ノ国の地下研究所で、自分たちはバルドルとホズをモデルに身体をデザインされ、そこに魂を入れて造られたことを知った。  初めて会った時から「バルドル様って兄上に似てるな」と思ったものだけど、相手も「アクセルってホズに似てるな」と思っていたのかもしれない。  本当はどうなのか不明だが、それで親近感を覚えて何かと力を貸してくれるのはこちらとしてはありがたい話である。 「それにしても、このステーキ美味しいねぇ。柔らかいし、臭みも全くない。やっぱり神々の食事は戦士(エインヘリヤル)とは全然違うんだなぁ」 「そ、そうだな……」  アクセルは曖昧に微笑んだ。  この状況でよくステーキなんか食べられるなぁ……と思わんでもなかったが、自分もパンを口にしているのだから人の事を言えない。  気を取り直し、話を元に戻した。 「……あのメリナって子、次も仕掛けてくると思うか?」 「くるだろうね。あの手の子供が自発的に諦めるとは思えないし」 「そうだよな……。今度はどんな手でくるんだか」 「知らないけど、話を聞く限りメリナはかなりの悪知恵をつけているみたいだからね。思いがけない方法で罠を張ってくる可能性も十分考えられる。本当に気を付けないとなぁ」 「…………」  アクセルはふと手を止めた。  ステーキを頬張っている兄を見つめ、真剣な顔で口を開く。 「なあ兄上」 「どうしたの?」 「もし俺が罠にかかってメリナの『おとなのあそび』に巻き込まれたら、その時はメリナごと俺を斬ってくれ」 「……!」  兄が手を止めた。そして真っ直ぐこちらを見て、少し首を傾けた。 「斬るのはいいけど、お前がメリナと『おとなのあそび』をしているところなんて想像つかないな。お前が女の子を相手にできるとも思えないし」

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