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第2025話

「いや、それだけじゃダメだね。ちゃんと相手を弱らせないと。元気なまま封印しようとしても、逆に鏡を割られてしまうよ」 「じゃあ、出会い頭に斬り伏せてやれば一発で解決しそうですね?」  と、兄が血生臭いことを言い出す。  やり方はともかく一理あるなと納得しかけていたら、バルドルがやや苦い顔をした。 「まあ、そうだね。ただ、メリナは瞬間移動できるから間合いからもすぐに逃げてしまう。彼女を直接斬り刻むのは非常に難しいと思うんだ。可能性があるとすれば、誰かの身体に入っている時くらいかな」 「誰かの身体に入っている時って……」 「ああ……言ってなかったっけ。メリナって他人の身体を乗っ取ることもできるんだよ。それで興味の沸いた身体を乗っ取って遊び回るわけね。……ほら、彼女の本体は割と小さな女の子でしょう? 背の高い男の身体がどんなものか……とか、巨人の視線はどんな感じなのか……とか、そんな気軽な理由で他人様の身体を使うことがあるんだ」 「えええ……?」 「しかも乗っ取られた側は自分の身体を人質にとられているようなものだから、下手に自分の身体を傷つけることもできない。それで周りの人もなかなか止められなくて、メリナのやりたい放題になってしまうんだよ。彼女の気が済むまで、身体を貸してやるしかないんだ」 「……はあ。なんかもう、最悪ですね……」  そんなくだらない理由で他人様の身体を勝手に使わないで欲しい。そんなに違う身体に入りたいのなら、透ノ国の地下研究所にあったサンプルの身体にでも入っておけ。 「……なるほど。そういうことなら打開策があるかもしれません」  兄がしたり顔で口角を上げたので、アクセルは「はて」と兄を見た。 「? どういうことだ? メリナが気に入る身体でも用意してあげるのか?」 「違うよ。……けど、完全な外れというわけでもない。彼女が私たちと遊びたがっている今がチャンスだ」 「チャンスってな……」 「というわけでバルドル様、この鏡預かってもいいですか?」

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