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第2026話
「もちろん、最初からそのつもりだよ」
そう言ってバルドルは、「封印の鏡」をこちらに渡してくれた。鏡の使い方から特徴などを細かく教えてくれて、メリナを封印する秘策まで授けてくれた。
その後は残っていた夕食を一緒に片付け、丁重に礼を言ってからバルドルの屋敷を後にした。
「この中に封印、ね……」
アクセルはまじまじと預かった鏡を見た。
一見普通の丸い鏡で、縁に軽い装飾が施されている以外はこれといった特徴がない。今も自分自身が当たり前に写っている状態だ。
こんな鏡でメリナをどうにかできるなんて、にわかに信じがたい。
「魔法具? 神器? 本当にこういうのはよくわからないな。俺は素直に剣や弓で戦う方が性に合ってるよ」
「ま、その手の道具は私たちの専門外だからね。今はバルドル様を信じて、上手くやるしかないよ」
「そう、だな……。しかし、今棺の使用状況はどうなってるんだ? 最低でもひとつは空いてないと困るぞ」
「そこは無理にでも空けてもらうことにしよう。ひとつくらいなら何とかしてくれるでしょう」
バルドルの話を総合した結果、メリナを封印するには「あえて身体を乗っ取らせ、その状態で彼女を斬って弱らせる」のが一番だという結論に至った。
要するにアクセルか兄・フレインのどちらかが斬られる必要があるわけだ。
これは斬られても蘇生できる戦士 だから可能な作戦であり、普通の神にはできないことである(死んだら「死者の国」に送られて、復活するのが困難になるため)。
そういう事情があるなら、斬られるのもやぶさかではない。今まで何度も斬られてきたし、今更死ぬのは怖くない。
ただ……。
――一時的にメリナに身体を乗っ取られるってのは、ちょっと不安なんだよな……。
その時、自分の魂はどうなるのだろう。眠らされるのだろうか、それとも意識だけは残るんだろうか。
もし最高傑作の時みたいに身体から追い出されて、魂のままふわふわ彷徨うことになったらどうしよう……。
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