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第2040話

 家に帰ったアクセルは、その日は庭で黙々と鍛錬し一日を過ごした。  翌朝になって寝室の棺を確認してみたのだが、蓋はまだ開いていないようだった。  ――もう少し時間かかるのかな……。  仕方なくベッドから下り、顔を洗ってキッチンに入る。兄がいつ起きてきてもいいように、兄の分もしっかり朝食を作った。  だが朝食が出来上がっても兄は起きて来ず、昼過ぎになっても蓋は閉じたままだった。さすがに心配になってきた。  ――おかしいな……。普段ならとっくに復活しているはずなのに……。  どこまで回復しているのか、あとどれくらいかかるのか。  中を確認したくなって棺の蓋に手を伸ばし、すんでのところで思い留まる。下手に開けて蘇生が中断したら最悪だ。ここはじっと待っているしかない。  気を紛らわせるために、午後は食料の仕分けを手伝いに行った。昨日一日仕事をサボってしまったので、三〇位くらいの戦士にものすごく嫌味を言われた。 「お前さんが仕事をサボるとか、珍しいな。何かあったのか?」  鹿肉を切り分けていたら、ジークに声をかけられた。  ジークは連日大物を狩りまくっているらしく、いつもの服から獣らしい血の臭いがしてくる。どうやら洗濯が追いついていないようだ。  ――まあ、今は棺や泉が優先だもんな……。魔法のドラムはあまり使えないのか。  そんなことを思いながら、アクセルは質問に答えた。 「いえ、ちょっと……。個人的なトラブルがあって、昨日はそっちにかかりきりだったんです。すみません」 「……そうか。フレインはどうした?」 「兄は……まだ棺で寝ています。傷自体はそこまで大きくないので、もっと早く復活すると思ったんですけど……」 「…………」  ジークが小さな息を吐いた。そしてこちらに身を屈め、ひそひそとこんなことを言ってきた。 「今更言っても遅いかもしれんが、ひとつ忠告しておくぞ。どうせ復活できるからって、むやみやたらと傷を作るのはやめた方がいい。少なくとも今は、棺や泉をあてにするべきじゃない」 「!? どういう意味ですか?」

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