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第2045話
「っ……」
その行動に驚いたのか、兄は目を丸くしてこちらを見た。
「ちょっとお前……どこ触ってるの」
「何度言っても理解してくれないから、改めて俺の気持ちを伝えようかと」
「ええ? 今ってそういう流れだった?」
「だって兄上、初めての時に言ってたじゃないか。セックスは愛情を確かめる行為だって。最近は……ちょっと、その……変な遊びの方向に傾きがちだけど、根本的なところは変わらないはずだ」
身じろぎした兄を逃がさないよう、しっかり抱き締めて耳元で囁く。
「だから……俺がどれだけ兄上を想っているか、この機にちゃんと伝えておきたい。今まで流されがちだったことも、全部」
「う、うーん……。でも、こんなことしなくてもお前が私のこと大好きなのは知ってるよ……?」
「それでも!」
兄の唇に指を当てて黙らせる。
「それでも……ちゃんと伝えたいんだ。今、この場で」
「……。……わかったよ」
腹を括ったかのように、兄がこちらの肩に腕を回してくる。
「じゃあ教えて。お前の気持ちを全部……包み隠さず」
「ああ、もちろんだ」
全身を愛撫しつつ、兄を浴室の床に寝かせる。
濡れた全身は白くなめらかで、陶器のように美しかった。
――兄上……。
綺麗に整った顔に柔らかな金髪。宝石のような青い瞳は底のない泉を彷彿とさせ、兄の底知れぬ人間性を表しているように見える。
色っぽい唇の隙間からは雄っぽい犬歯が覗いており、そこがまたたまらない魅力となっていた。
美人だけど決して女々しくはない。包容力はあるけどしっかり男性だし、他の追随を許さない強さも持っている。
そんなところが、昔からアクセルを魅了してやまなかった。いつも一番近くにいるのに、未だに全部「捕まえた」感じがしないのは、この二面性のせいかもしれない。
もっと兄のことを知りたい。兄の心を覗きたい。もっと、もっと。
「兄上……」
兄の分厚い胸板に両手を這わす。
幼い頃はよくこの胸に飛び込んで、一日の出来事を話していたものだ。いいことも、悪いことも。
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