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第2056話

 服を着せているところで兄が目を擦ってきて、アクセルは顔色を窺った。 「兄上、もう大丈夫なのか?」 「うん……まあ。それよりお腹空いたな……。何か作ってきてくれる?」 「あ、ああ……わかった」  言われた通り、キッチンに入って簡単な軽食を作る。今はあまり食料もないのでとりあえず軽くパンを焼き、その上に薄くスライスしたハムとチーズを乗せてやった。  後は自分の分も含めてホットミルクを入れ、テーブルに並べておく。  しばらくして兄がタオル片手にやってきて、自分の席に座った。  座るやいなや当たり前にパンを食べ始めたので、アクセルも向かい側に座って様子を窺うことにした。  ぺろりとホットサンドを食べ尽くし、ミルクも飲み干し、ほう……と息をつく兄。 「もっと食べるか?」 「……いや、今はこれだけでいいや。あまり満腹になると寝られなくなりそうだし」 「そうか。……あ、今日は配給で新鮮な鹿肉が手に入ったんだよ。明日は兄上の好きなステーキにもできるぞ」 「ああ、そうなの? じゃあしっかり働いたらステーキにしようかなぁ」  そんなことを言いつつ、兄が軽く溜息をつく。  まだボーッとしていそうだったので、食器の片付けも自分がやることにした。  空になった皿とマグカップを下げ、念入りに水洗いする。  食料庫を確認し、明日の朝食のメニューを決めたところでリビングに戻った。  兄はようやく頭がハッキリしてきたのか、湿った金髪をタオルで乾かしていた。 「なんか、この数日でいろんなことが一気に起こったねぇ」 「そうかもしれないな……」 「今思えば、メリナの出現はヴァルキリーの遠回しな宣戦布告だったのかも」 「宣戦布告って? どういう意味だ?」 「いや、何となくそんな気がしただけ。メリナがヴァルハラに来たら、こっちもいろいろ対応せざるを得ないでしょ? 食料調達なんてやっている場合じゃない。現に私たちも、昨日は食料調達できなかったわけだし」 「それは……」

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