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第2057話

「そもそも、メリナみたいな問題児を神々が放置しておくのもおかしいんだよ。普通なら一刻も早く手を打つべきなのに、そうしないどころかヴァルハラまで連れてきてしまった。ただでさえ魔剣士の影響で混乱中なところを、余計に引っ掻き回されたような気がしてならないんだ」 「う、うーん……でも、引っ掻き回されたのはあくまで俺たちだけであって、他の戦士には影響なかったんじゃ」 「それはあくまで結果論ね。私たちがたまたまバルドル様と懇意にしてたからよかったけど、そうじゃなかったら封印方法とか何もわからずやりたい放題されてたと思うよ」  それはそうかもしれない。  実際、アクセルたちもバルドルの助力がなければメリナを封印できなかったし、一晩で決着をつけることもできなかった。  そういう意味では幸運だったのかもしれないが……。 「ということは、やっぱりヴァルキリーたちは本格的に俺たちを潰そうとして……」 「そうなる可能性は低くないかもね。いくらこっちが平和を望んでいても、向こうから宣戦布告されたらどうしようもない。だからいつ戦争になってもいいように、きちんと戦う準備だけはしておこうね」 「…………」  アクセルは視線を落とした。  もちろん戦士である以上、いつでも戦う準備はできている。  でもそれは大規模な戦争で散るためじゃなくて、「死合い」という娯楽で命を燃やし合うためでありたい。そしてお互い命懸けで戦った後は、きちんと元通り復活して、またいつもと同じ生活を送る……。そんなヴァルハラであって欲しい。 「あの、兄上……風呂場でも話したが、いざという時は……」 「うん、わかってるよ。生き延びることを第一優先に考える。それはちゃんと約束するから、心配しないで」 「そうか……」 「さて、そろそろ寝ましょうかね。明日こそはちゃんと起きて仕事手伝わなきゃ」 「あ、ああ……」  兄が寝室に入って行ったので、アクセルも就寝着に着替えて寝室に向かった。  兄はさっさと自分のベッドに横になっていたが、アクセルは何故か心が悶々としてしまい、なかなか寝付けなかった。

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