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第2086話

「大丈夫、お兄ちゃんがついてる。お前は不安でしょうがないだろうけど、私はこの状況……言うほど悪くないと思ってるよ。事情はどうあれ、お前が生きてここにいるからね」 「兄上……」 「だからお前も、気をしっかり持って。くれぐれもパニックを起こさないように。見た目は焼け野原だけど、蓋を開けてみれば意外とあっさりしたものかもしれない。悲観するにはまだ早いよ」 「……ああ、そうだな……」  兄が勇気づけてくれたおかげで、だいぶ気持ちが楽になった。  アクセルは自分を落ち着かせる意味も込めて、なるべくゆっくり食事をした。あり合わせの材料を雑にぶち込んだものだけど、味自体は悪くなかった。  食事を終え、丁寧に食器を洗い、いよいよ外に出て調査を開始する。  まずはベランダから庭に下りて、周辺を見渡してみた。  やはり一面焼け野原で、建物の類は何もない。地面が抉れている箇所はなかったが、山や森すらも見えないというのは薄ら寒い恐怖を感じた。  何だか、自分たちだけが世界から取り残されているみたいで……。 「う……」  だんだん気分が悪くなってきて、アクセルは俯いて兄のマントを掴んだ。  兄が訝しげに首を捻り、こちらの様子を窺ってくる。 「……どうしたの?」 「いや、その……やっぱり、こういう何もない焼け野原は苦手で……」 「? そうだっけ? そんなトラウマになるようなこと、あった?」 「わからない……けど、何かこう……まっさらな大地ってちょっと気味が悪くないか? どこを見ても何もなくて、自分が今どこにいるのかわからなくなるみたいな……」 「……そうかい。じゃあ、そのまま私のマントを掴んでいるといいよ。これなら不安にならないでしょう」  馬鹿にすることなく、こちらを気遣ってくれる兄。ただでさえパニックになりそうだったので、兄がいてくれて本当によかった。  庭をぐるっと一周歩いたところで、思い切って敷地外に出てみる。  敷地の外でも景色は変わらず、真っ平らな焼け野原が広がっていた。

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