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第2092話

「さて……とりあえず戻ろうか。ピピちゃん、よろしく頼むよ」 「ぴー」  任せろ、と言わんばかりに背中を向けてくるピピ。  だが、兄がその背に跨ろうとした時だった。 「まって」 「…………えっ?」  突然後ろから声が聞こえて、アクセルも兄も勢いよく振り返った。  そこには何故か、以前退治したはずの少女が静かに佇んでいたのだ。 「き、きみは……まさか、メリナ……か?」 「そう。おぼえててくれてうれしい、お兄ちゃん」 「な、何故……!? きみは鏡の中に封印したはずじゃ……」 「そうなんだけど、いまメリナがいるところをきりとってすかしのくににつなげれば、ふつうにでてこられるなーって。そうおもってやってみたら、ふつうにうまくいっちゃった」 「えええ!?」  要するに、鏡の中の世界をわざと切り取り、透ノ国の一部に仕立て上げたということだ。  見た目は幼女だけど、普通にその辺りの頭は回るようだ。これじゃどこに封印しても意味がないじゃないか……。 「……ちょっと待って。きみ、自分で世界を切り取ることができるのかい?」  兄がメリナを問い詰めたところ、メリナは当たり前のように頷いた。 「できるよ。あく……あくう……なんとかっていうまほうをつかえば、かんたんにきりとれるよ」 「亜空、何とか……。『亜空切断』か何かかな」 「そんななまえだったかも。でも、なまえはむずかしくても、まほうじたいはそこまでむずかしくないもんね。えらいかみさまだったら、みんなできるとおもう」 「嘘だろ……? それじゃ透ノ国がこんな風になっているのって、全部神々のせい……」 「アクセル、今の問題はそこじゃないだろう?」  ペシッとこちらの後頭部をはたき、兄は続けた。 「じゃあメリナちゃん、切り取られた元の世界がどうなるか知ってるかな?」 「んーと、どうにもならなかったきがする。もとのせかいはもとのまま、ふつうにそこにあったとおもうの」 「えっ……そうなのか?」

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