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第2094話

「そんなことより、せっかくまたあえたんだからメリナとあそんで。こんどこそおとなのあそびをしてみたいな」 「……またそれかよ。悪いが、今はそんなことしてる場合じゃないんだ。遊びたいなら他を当たってくれ」 「ほかってなに? ここにはお兄ちゃんたちふたりしかいないでしょ」 「だからその……」 「お兄ちゃんたち、じぶんのいえをきりとったはんにんをしりたいんじゃないの? メリナならそれがわかるかもよ?」 「えっ……?」  意味深な言葉を吐くメリナ。挑発的に口角を上げ、こちらに微笑みかけていた。その嫌な感じの微笑みは、予言の巫女を彷彿とさせた。  これは何か企んでいるに違いない……。 「だからって、素直に大人の遊びに付き合うわけないだろ。どうせどっちかの身体を乗っ取って、好き放題するに決まってるんだ。もうきみの手には乗らないからな」 「そんないじわるいわないでよ。メリナ、あそぶのはすきだけどやくそくはまもるわ。メリナとあそんでくれたら、お兄ちゃんたちのはんにんさがしにきょうりょくしてあげる」 「そんな話、簡単に信じられるわけが……」  すげなく断ろうとしたのだが、兄に肩を掴まれて止められた。  兄は自分の一歩前に出て、あくまで穏やかに尋ねた。 「メリナちゃん、こういう魔法って使用した術者が誰かわかるものなの?」 「うん、なんとなくわかるよ。まりょくのはちょうっていうのかな、そういうの、かみさまによってちがうからね」 「そうなんだ? そしたら、亜空切断をやった神様も見当がつきそうだね」 「つくけど、ここにはたくさんのせかいがある。あくう……なんとかってまほうをつかったかみさまも、いっぱいいる。ひとりにしぼるのはムリね」 「そんなにたくさんいるのかい?」 「いるよ。すくなくとも、えーと……これくらいいるわ」  バーン、と両手を広げてこちらに見せつけてくる。一〇人くらいと言いたいのだろうか。 「そんなにいるんだ……。確かにそれじゃ、一人に絞るのは大変そうだね」

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