2094 / 2202
第2094話
「そんなことより、せっかくまたあえたんだからメリナとあそんで。こんどこそおとなのあそびをしてみたいな」
「……またそれかよ。悪いが、今はそんなことしてる場合じゃないんだ。遊びたいなら他を当たってくれ」
「ほかってなに? ここにはお兄ちゃんたちふたりしかいないでしょ」
「だからその……」
「お兄ちゃんたち、じぶんのいえをきりとったはんにんをしりたいんじゃないの? メリナならそれがわかるかもよ?」
「えっ……?」
意味深な言葉を吐くメリナ。挑発的に口角を上げ、こちらに微笑みかけていた。その嫌な感じの微笑みは、予言の巫女を彷彿とさせた。
これは何か企んでいるに違いない……。
「だからって、素直に大人の遊びに付き合うわけないだろ。どうせどっちかの身体を乗っ取って、好き放題するに決まってるんだ。もうきみの手には乗らないからな」
「そんないじわるいわないでよ。メリナ、あそぶのはすきだけどやくそくはまもるわ。メリナとあそんでくれたら、お兄ちゃんたちのはんにんさがしにきょうりょくしてあげる」
「そんな話、簡単に信じられるわけが……」
すげなく断ろうとしたのだが、兄に肩を掴まれて止められた。
兄は自分の一歩前に出て、あくまで穏やかに尋ねた。
「メリナちゃん、こういう魔法って使用した術者が誰かわかるものなの?」
「うん、なんとなくわかるよ。まりょくのはちょうっていうのかな、そういうの、かみさまによってちがうからね」
「そうなんだ? そしたら、亜空切断をやった神様も見当がつきそうだね」
「つくけど、ここにはたくさんのせかいがある。あくう……なんとかってまほうをつかったかみさまも、いっぱいいる。ひとりにしぼるのはムリね」
「そんなにたくさんいるのかい?」
「いるよ。すくなくとも、えーと……これくらいいるわ」
バーン、と両手を広げてこちらに見せつけてくる。一〇人くらいと言いたいのだろうか。
「そんなにいるんだ……。確かにそれじゃ、一人に絞るのは大変そうだね」
ともだちにシェアしよう!