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第2116話(フレイン視点)

「そんなところにいてもダメ。弟の身体貸してあげたんだから、約束は守ってもらうよ」  そう呼びかけたところ、メリナはやや青ざめた表情で口を尖らせた。 「……もうやだ。あんなすごいことするとはおもわなかった。おとなのあそびなんて、もうやらない」 「それがいいよ。あれは本当の意味での『大人の遊び』だからね、意味を理解できるようになるまではお預けにしておくべきだ」 「ちぇっ。メリナもやっと、おとなのなかまいりができるとおもったのに」  大人の遊びをしただけで大人の仲間入りができたら、誰も苦労はしないだろう。  フレインはやれやれと首を振り、メリナに問いかけた。 「それで……今回の事件、黒幕は誰なんだい?」 「くろまく?」 「空間を切り取った神様、何となくわかるって言ったじゃないか。それを教えるって約束で弟の身体を貸したんだよ? まさか今更『わかりません』なんて言わないよね?」 「……メリナ、くろまくがわかるなんていってない。あくう……なんとかってまほうをつかったかみさまがなんとなくわかるっていっただけ。お兄ちゃんたちのいえをきりとったのがだれかまでは、しらない」 「ああ、そうだったか……。容疑者は確か一〇名くらいいるんだっけね」  フレインは紙とペンを持ってきてテーブルに座った。  そして笑顔で凄みつつ、メリナを脅してみせた。 「じゃあ、わかる人の名前を全部挙げていって。メモしていくから」 「……はあ。なんかこのお兄ちゃんたち、どっちもきょうぼうでやだ。メリナにぜんぜんやさしくしてくれない」  自分はともかく、アクセルを凶暴とはどういう了見だ……と内心イラッとする。あんなに優しくて親切な子は他にいないだろうに。  ――私の身体を乗っ取って早々、滅多斬りにされたからかな? そりゃ、アクセルの地雷を踏み抜いたメリナちゃんが悪いよね。  そんなことを思いつつ、フレインはメリナの言葉をメモしていった。  その中には、無関係であって欲しかった神様の名前も含まれていた。

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