2117 / 2201
第2117話
「ん……」
瞼に光が差し込み、アクセルはベッドの上で目覚めた。
起き抜けは記憶が混乱しており、自分が今どこにいるのかもよくわからなかった。
――ええと……俺は一体何を……?
確か透ノ国から帰ってきて、メリナから情報を引き出すために身体を貸して、その後しばらく意識がなかったけど突然意識が戻ってきて、そしたら兄にめちゃくちゃにされて……。
――って、何やってるんだ俺は!
呑気に寝てる場合じゃない! まだまだやるべきことはたくさんあるんだ! 早く起きなくては!
アクセルは転がり落ちるようにベッドから飛び出し、リビングに駆け込んだ。
「兄上!」
「やあ、おはようアクセル。よく眠れたかい?」
兄・フレインは、テーブルの席でコーヒーを飲みながら何かの書類を熟読していた。
自分の席には簡単な朝食と、同じくコーヒーの入ったマグカップが置いてある。
「兄上、あの……」
「詳しい話は後だよ。まずは腹ごしらえをしなさい。お腹空いてるだろう?」
「は、はい……」
勧められるまま、アクセルは席に着こうとした。
兄は書類に目を落としてしまったが、見た目はいつもの兄と変わらなかった。
「その前にちょっといいか?」
「うん? どうしたんだい?」
兄の肩を掴み、こちらを振り向かせて真正面から問いかける。
「あなたはちゃんと兄上だよな? メリナじゃないよな?」
「当たり前じゃないか。メリナちゃんは情報提供した後、どこかに逃げて行っちゃったよ。なんか私たちが凶暴すぎて怖くなっちゃったんだってさ」
「そうか……ならよかった」
ほっ……と息を吐き、アクセルは兄に軽く口付けた。
そして今度こそ自分の席に着き、朝食を口にした。朝食といっても食材が限られているので、小麦粉をこねて焼いただけの簡易パンと、干し肉を掻き集めて野草と煮込んだスープのみだった。
「それで……メリナから情報は聞き出せたのか?」
朝食を平らげてコーヒーを飲み終えたところで、アクセルは兄に尋ねた。
すると兄は、一枚のメモをこちらに見せてきた。
ともだちにシェアしよう!