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第2118話
「うん、聞けた。これが黒幕候補だよ」
アクセルは提示されたメモに目を通した。
そこには一〇名ほどの神の名前が書かれており、アクセルが恩人として慕っている神もしっかり記載されていた。
「バ、バルドル様……? それにホズ様まで……。そんな馬鹿な……」
「それはあくまで容疑者一覧だから、黒幕かどうかはまだわからないけどね。でも疑わしいところはあるってこと」
「そんな……そんなの、信じられないよ……。あのバルドル様たちが黒幕候補だなんて」
「だから、真相を確かめるために調査するんだってば。無実の可能性も十分あるんだから、思い込みや早とちりは禁物だよ。何なら『自分たちで疑いを晴らしてあげる』くらいの気概でいないと」
「そ、そうだな……。しかし、具体的に何をすればいいんだ? 容疑がある以上、バルドル様のところには行けないだろう?」
今まで困ったことがあったらいつもバルドルの助力を得て来たから、それが使えないとなると何から始めればいいかわからない。
自分たちは魔法を使えないし、それに関する知識も乏しすぎる。この世界にどのくらいの神がいるかもわかっていない上、その関係性もきちんと把握できていないのだ。
有識者なら、このメモの黒幕候補を見れば何かしらピンとくるものがあるのかもしれないけど……生憎アクセルには、バルドルとホズ以外の名前は誰が誰だかさっぱりだった。
というか、カメの救出という課題もあるのだが……何だか先行き不安である。迎えに行くのが遅すぎて、カメが餓死してしまったらどうしよう……。
「さて、そろそろ出掛けようかな」
兄がガタンと席を立ったので、アクセルもつられて立ち上がった。
内ポケットに例のメモをしまい、兄が玄関に向かって行く。
「兄上、どこに行くんだ?」
「図書館だよ。まずは、ここに書いてある神様がどんな人たちなのかを調べる。ついでに魔法についてもいろいろ調べよう。調査するにしても、このままじゃあまりに知識不足でどうにもならないからね」
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