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第2126話
彼らがヴァルハラを追放された後はラグナロク前にちょっとだけ再会したっきりで、その後は一切姿を見ていない。そもそもここに来るまで彼らの存在を忘れていたし、巨人族の神殿に来たことも忘れかけていたくらいだ。
今更こんなところにワープしてしまったのは、一体どういう巡り合わせなのだろう。不思議でならない。
「ま、まあこんなところにいてもしょうがないからな。さっさと帰って、調べ物の続きでも……」
そう言って帰宅を促そうとした時、突然胸元に入れっぱなしだったヤドリギが反応を示した。
「おわっ!」
胸ポケットを突き破り、ニョキニョキ蔓を伸ばしてくる。
「ちょ……いきなり何だよ? 相変わらずよくわからない神器だな……」
胸元から伸びっぱなしにしておくわけにもいかず、アクセルは仕方なくヤドリギを取り出した。
ヤドリギはスルスルと蔓を伸ばし続け、神殿の中に入って行く。
「……何だ? 神殿に何かあるのか?」
「あるんだろうね。ちょっと様子を見て来ようか」
神殿に足を踏み入れようとしたのだが、カメに釘を刺された。
「行くのはいいですが、ご注意なさいますよう。この神殿、だいぶ古くなっております。いつ崩れてもおかしくない状況ですので」
私はここで休んでおきます……と、また手足を引っ込めてしまうカメ。
忠告を胸に刻み、アクセルは慎重に神殿に足を踏み入れた。
石柱を神殿内部から視認してみたら、経年劣化でだいぶボロボロになっていた。
――こんなの、崩れたら天井に潰されて一巻の終わりだな……。気を付けないと。
棺は使えるようになってきているけれど、どの道遺体を潰されてしまったら復活できない。天井が崩れる前に調査して、さっさと帰ろう。
ヤドリギの蔓を辿り、神殿の奥へと進む。突き当たりに石の壁があったが、それ以外に変わったところはなかった。
「何もないな。結局何だったんだ……?」
「いや、結論づけるのはまだ早いかもよ」
兄が神殿の床に視線を落とす。
ヤドリギの蔓は床に向かって伸びており、まるで石の床を引っ掻いているみたいだった。
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