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第2127話

 ――ここに何かあるのか……?  透ノ国みたいな地下研究所があったりして……いや、まさかな。  訝しみつつ、アクセルは膝を曲げて石の床をじっくり観察してみた。  一見ごく普通の石畳だが、石と石の間にほんの少し隙間がある。頑張れば剥がせそうだ。  アクセルは手持ちの短剣で石の隙間を穿(ほじく)り返した。しばらくガリガリ削り続けていたら、ようやくボコッと石畳が浮いてきた。  ――よし、これで……。  兄と石畳を持ち上げ、その下を確認してみる。  案の定そこには地下へと続く階段が隠されており、明らかに何かがあることが窺えた。ヤドリギの蔓も、地下を指し示している。 「うーん……なんかもう、テンプレすぎてあまり驚かない展開だね。とりあえず行ってみようか」 「ああ、そうだな……」  地下への階段に一歩足をかけた時、突然グラグラと周辺が揺れ出した。  結構大きな地響きで、その場に立っていられないくらいの揺れに襲われる。 「あっ……!」  天井から瓦礫が落ちてきた。兄は反射的にその場を飛び退いた。  アクセルは階段下に頭を引っ込めていたので無事だったが、兄とは瓦礫で分断されてしまった。 「兄上!」  天井が崩れ、ガラガラと瓦礫が降り注ぐ。  必死に叫んだが、自分の安全を確保するのに精一杯で、兄の状況を確認している余裕がなかった。 「うわっ……!」  階段の出入口にも瓦礫が落ちてくる。  大きな瓦礫に入口の三分の二を塞がれ、頭を出すこともできなくなってしまった。  数分の後、ようやく周りが静まり返る。揺れも収まり、瓦礫が降り注いでくる気配もなくなった。おそらく天井は完全に崩れ落ちてしまったのだろう。 「兄上―!」  試しに大声で呼んでみたけれど、返事はなかった。  声が届いていないのか、返事のできない状況なのか、それとも……?  ――嘘だろ……? こんなところで……。  嫌な想像が頭をよぎり、ぞっと背筋が冷たくなる。  離れ離れになった挙句、このまま死に別れてしまったらどうしよう。  さっきの瓦礫で兄が潰されてしまっていたら……そんなことになっていたら、俺は……。

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