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第2131話
「う……」
ホッとした途端全身から力が抜け、がくりと膝をつく。
先程覚醒して狂戦士モードになったばかりなのに、もう効果が切れてしまったようだ。
――くそ……この程度しか持続しないなんて……。
確かに今は十分な食事ができていなかったり、心配事が多くてメンタルが安定していなかったりと、絶好調とは言い難い状況である。
そんな状況では狂戦士モードも長続きせず、爆発的な力もほんの一瞬しか出せないのだろう。
これではいざという時、非常に困るのだが……。
「アクセル!?」
出入口から兄の顔が見えた。どうやら兄は、瓦礫の倒壊に巻き込まれずに済んだみたいである。無事でよかった。
「ほら、手を出して。引っ張ってあげるから」
「あ、ちょっと待ってくれ。俺より先にバルドル様を……」
「……えっ、バルドル様?」
アクセルは寝かせておいたバルドルの身体を抱き上げ、出入口から外に出した。
それを兄が引っ張り上げてくれた後、自分も穴から這い出た。
「いや、ちょっとお前これ……一体どういうことなの?」
さすがの兄も驚愕したように、バルドルの身体を支えている。そのバルドルは、やはり死んでいるかのように目を閉じたままでいる。
「わからないよ。ヤドリギを辿って行ったら、たまたまバルドル様が捕らえられているのを見つけただけで……」
「たまたまって……」
「とにかく、バルドル様は瀕死の状態なんだ。早く手当てしてあげないよ」
「……そうだね。まずはヴァルハラに帰って泉に入れよう。神様にも効果あるかはわからないけど」
兄の指示通り、急いで世界樹 を通ってヴァルハラに戻り、オーディンの泉に直行する。
利用者は誰もいなかったので、アクセルは遠慮なくバルドルの身体と一緒に飛び込んだ。
バルドルの身体を仰向きに浮かべ、沈まないように気を付けながら様子を見守る。
「泉の利用者も随分減ってきたね」
と、兄が泉の縁で周囲の様子を窺う。
「被害を受けた戦士もだいぶ回復してきたのかな。そう言えばさっき市場をチラッと見てきたけど、営業再開しているテントがかなり増えてたよ」
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