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第2132話

「そうか……それは何よりだ」 「帰りに食料買い物していくよ。ここ最近、ロクな食事とれてなかったし」 「ああ、もちろん。栄養が足りないと肝心な時に力が出せないからな……」  正直、狂戦士モードがあっという間に途切れてしまったことは、アクセルにとってかなりのショックだった。  狂戦士モードを継続させるための修行は何度もしてきたけど、そもそもエネルギーが足りていなければ持続すらしないのだということを、今回改めて思い知らされた。  やはり戦士の基本は健康な身体。よく寝て、よく食べて、よく運動し、規則正しい生活を送らないといけないのだ。  ――早く普通の生活に戻りたい……。  朝はいつも通り起きて軽く鍛錬をして、朝ご飯を食べてから死合いなり狩りなりに出掛ける。昼過ぎからは武器を強化したりトレーニングの方法を変えたりして、夜は夕食をとってから風呂に入り、柔らかいベッドで眠る……それだけでいい。  ヴァルハラも少しずつ日常が戻ってきているけれど、バルドルや透ノ国、ヴァルキリーとのゴタゴタを解決しない限りは平穏な日常を送るのは難しいだろう。  なるべく大きな争いはしたくないが、もしかしたらラグナロクに匹敵する大戦争が起きてしまう可能性も……。 「う……」  その時、バルドルが微かに身じろぎした。今までピクリとも動かなかったのだが、呻き声と共にほんの少し眉根を寄せている。 「バルドル様……!」 「よかった、順調に回復してるみたいだね。じゃあ私は先に市場で買い物して、家でご飯作って待ってるよ。ピピちゃんも例のカメくんもお腹空かせてるだろうしね」 「あっ……そういやカメのこと忘れてた……! 彼は大丈夫だったか? 潰されてなかったか?」  バルドルのことに気をとられ、カメがどうなったのか頭からすっかり飛んでしまっていた。元はといえばカメを助けるために透ノ国に行ったのに……。  すると兄は、軽やかに笑いながらこう答えた。 「大丈夫さ、さすがにあのカメくんは丈夫だよ。普通の神獣より遥かに賢いし、地震がくることもある程度予測していたみたい」

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