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第2145話

「ええ、そうですね。あの手のタイプは妙な責任感がありますので、今はおとなしくても油断はできません」  と、ユーベルも同調して頷く。 「高名な神が、戦士(エインヘリヤル)に頼るわけにはいかない……というプライドもあるでしょうしね。わたくしも元貴族なので、多少は気持ちがわかります。施すのはいいですが、自分が施されるのは心理的抵抗があるんですよ」 「そ、そういうものなんですか……」 「そういうものです。施されてばかりの弟君にはわからないかもしれませんけどね」 「う……」  ナチュラルに嫌味を言われ、ちょっと胸が痛んだ。  ジークは自分の肩を揉み、やれやれと言葉を発した。 「さて、俺たちは帰ってメシを食い直すか。さすがにコーヒーだけじゃ足りないからな」 「まったくです。せっかくの軽食、ほとんどミュー一人に食べられてしまいました」 「あーれ。二人共、お腹空いてたのー? 全然食べないからいらないんだと思ってたよー」  あれだけ食べまくったというのに、ミューは持参のペロペロキャンディーを舐めている。彼の食欲は兄以上かもしれない。  三人が去って行ったところで、アクセルはリビングに戻った。  リビングにバルドルの姿はなく、兄が一人で食器の片付けをしているところだった。 「あれ? バルドル様は……」 「先にシャワーをしてもらっているよ。いろいろ洗い流してさっぱりしてもらった方がいいと思ってね」 「ああ、なるほど……」 「気になるなら、お前も一緒に入ってきていいよ」 「んなっ……!? は、入るわけないだろ! 兄上じゃないんだから!」  兄の冗談に反論したところで、アクセルはベッドの準備をしに行った。  バルドルをソファーで寝かせるわけにはいかないので、とりあえず自分のベッドに新しい枕と掛け布団を用意しておく。自分はどこでも寝られるし、何なら久々にピピと寝てもいい気がする。 「ぴー」 「グァ」 「……あ」  ベランダからピピとカメの鳴き声が聞こえ、アクセルはそちらを振り返った。  二匹ともどこか恨めしそうな顔でこちらを見ていて、ピピなどはカリカリとベランダの窓を引っ掻いていた。

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