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第2155話

「でもやり方は下手すぎるよねー。二人同時に歩いたら、正門がガラ空きになっちゃうのにー。その間に忍び込まれたら、意味ないよねー」 「確かにな……」  ならば、屋敷に忍び込む隙はいくらでもあるということだ。  屋敷の中がどうなっているかは知らないが、少なくとも潜入自体は難しくなさそうに思える。  ――いやでも、逆にあれが罠の可能性もあるぞ……?  いくらヴァルキリーたちが間抜けでも、さすがにわざとらしすぎるだろう。  好き放題に忍び込めますよという雰囲気を出しておいて、あえてターゲットを屋敷内に誘い込む作戦なのかもしれない。  そもそも警備の指示を出しているのがロキなら、屋敷内の罠の方が多いと考えた方がよさそうだ。  だとすると、ますますホズの安否が心配になってくるのだが……。 「どーしよ? 警備のヴァルキリーを脅して話を聞いてみるー?」 「それは……」  アクセルは迷った。今の段階でそこまでやってしまっていいのか。  今回は偵察するだけの予定だったから、どこまで戦えるかあまり自信がない。狂戦士モードが回復しているかも確認していないし、そもそも敵がどれくらいいるかも未知数だ。  もっとも、そのために戦士(エインヘリヤル)最強のミューを誘ったんだろうと言われればその通りなのだが……。 「とりあえず、このお饅頭差し入れしてこようかー? なーんにも知らないフリして屋敷を訪問したら、どうなるのか見てみたいよねー」  などと、ミューが饅頭の風呂敷を掲げる。  なるほど、そういう手もあるか。確かにロキ側は、こちらがバルドルを保護していることをまだ知らない可能性がある。  その場合、アクセルが屋敷を訪ねていったらどういう反応を示すか、非常に興味深いところではあった。 「……わかった、やってみよう。万が一ヤバい雰囲気になったら、サポート頼むぞ」 「はーい。いざって時は全員ぶっ飛ばしてあげるから、まかしといてー」  アクセルは風呂敷を受け取り、思い切って正門から屋敷を訪ねた。一応、警備のヴァルキリーが見ていない隙を狙った。 「ごめんください、バルドル様はいらっしゃいますか?」

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