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第2159話

「でも兄上に言ったら、絶対止められるに決まってる。だからといって一人で行くのは危険すぎる。それでミューに声をかけたんだ……。ミューなら、何かあっても自力で何とかなるだろうと思って……」 「…………」 「……すまない、勝手なことして。でも結果的に無事だったし、ある程度情報は入れられたから、それで……」  アクセルの言葉はそこで途切れた。  いきなり兄にガッと顔を掴まれ、壁に叩きつけられたからだ。後頭部を打ち付け、一瞬目から火花が散った。 「無事だったからよかった……。それで私が許すと思ってるのかい?」 「っ……!」 「お前、自分が何をしたかわかってるの? 私に嘘をついて、しなくていいはずの危険に飛び込んで、無関係のミューまで巻き込んだんだよ? 一歩間違えていたら、大惨事になっていたんだよ? お前はそんなことすら想像できなかったの?」 「そ、れは……」 「私に嘘をついたことは……まあ、いいよ。私だって、いろいろごまかすことはあるし。でもよりにもよって、敵の本拠地に乗り込むってどういうこと? いつも罠にかかってピンチに陥るくせに、全然学習してないわけ? 誰かに助けてもらうことが当たり前になってて、他人を巻き込むことに抵抗なくなっちゃったんじゃないの? お前はいつからそんな自己中心的な子になったんだい? いい加減にしなさいよ」 「うっ……」  思いっきりグーで殴られてしまい、アクセルは床に転倒した。  割と容赦のない殴打で、兄の怒りがひしひしと伝わってくる。 「さすがに今回ばかりは失望した。危機意識が薄い子なのは知ってたけど、ここまで馬鹿なことをするとは思わなかったよ。いくら言っても向こう見ずなところは直らないし、お仕置きしてもその場限りだし、もうどうしようもないね」 「え……?」 「わかったよ。私は何も言わないから、お前は好きに生きなさい。お互い、干渉し合わない方が自由に行動できるしね。私もお前を守る必要なくなるし、一石二鳥だろう」 「えっ!? ちょ……!」

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