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第2164話

 いつも作っている簡単なものだったのに、考えることが多すぎて危うく黒焦げにしてしまうところだった。 「それにしても、久々の大喧嘩だったねー。仲良し兄弟にしては珍しいんじゃないー?」  などと、ミューが声をかけてくる。 「それにフレイン、随分怒ってたみたいだけどー。そこまで怒るようなことだったのかなー?」 「怒るようなことだったんだよ……。やっぱり兄上に黙って出て行くのはよくなかった。何が起きるかわからないのに、『何とかなるだろう』って考えたのも悪かった。ちょっと考えが甘かったな……」 「そう? でもアクセルのやったこと、僕はそこまで間違っていたとは思わないなー。少なくとも、ヴァルキリーが見張ってるって収穫はあったんだしー」 「それは……そうだけど……」 「仲間内で僕を選んだのも、一番いいチョイスだったよー。というか、狩りだろうが偵察だろうが、ある程度の危険はあるんだしさー。結果的に無事だったんだから、僕はそれでいいと思うなー」 「うん……」 「まー、ずっと喧嘩中なのはよくないから、今日のうちに仲直りしておきなよー。戦いになったら、そのまま永遠の別れになることもいっぱいあるんだしー。そうなったら、絶対悔やむことになるからー」 「……!」  確かにその通りだ。  今のヴァルハラでは、何が起きるかわからない。次の日も無事でいられる保証はどこにもないし、このまま戦争に発展してしまう可能性だってゼロとは言えない。  仲直りできないまま離れ離れになったらお互い絶対に後悔するだろうから、少なくとも今日寝るまでには元の関係性に戻しておきたい。 「ああ、そうだな……。ありがとう、ミュー。いろいろ迷惑かけてごめんな」 「僕は大丈夫だよー。偵察も楽しかったしー、もっと冒険してきてもよかったくらい」  見た目は小さくても、神経は図太いようだ。さすがはランキング一位の最強戦士である。 「そういえば、屋敷から出てきたホズ様は本物だったのかな……? ミューはどう思う?」

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