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第2168話
「ごめんなさい……兄上、ごめんなさい……ごめんなさい……」
「わかったわかった……。お前の気持ちはちゃんと伝わってる。後は私の頭が冷えればいいだけ。だからもう少し待って」
「は、い……ぐすっ」
一度身体を離し、片マントの隅で涙を拭ってくれる兄。先程と比べて雰囲気もだいぶ和らいでいたので、少しホッとした。
――やっぱり兄上とは、ずっと仲良しでいたい……。
一時的に喧嘩してしまっても、険悪なのはほんの一瞬。あまり引きずらずに仲直りして、以降はまた元の関係に戻る……そんな関係が望ましい。
もっとも、今回はアクセルが全面的に悪いのであまりわがままも言えない。
あとはもう、兄の言葉を信じておとなしく待つしかないだろう。
「あー、やっと戻ってきたー。パンケーキ冷めちゃうよー」
リビングでは、待ちきれなかったミューが一足先にパンケーキを食い散らかしていた。
一応アクセルと兄の分は残しておいてくれたみたいだが、まだ食べ足りないのかナイフとフォークを持ったまま待機している。
仕方なくアクセルは追加のパンケーキを焼き、ついでに卵とベーコンも焼いてやった。
「仲直りできたかい?」
バルドルが様子を窺いにキッチンに入ってくる。
アクセルは苦笑しつつ、焼きたてのパンケーキとベーコンエッグを皿に盛りつけた。
「いえ、まだちょっと……。でも、明日にはきっと仲直りできていると思うんで、心配いりませんよ」
「そうかい? 何なら私、今日は違う場所で寝ようか? 仲直りするんだから、二人きりになった方がいいよね?」
「えっ……? あっ、いや……大丈夫ですよ……。バルドル様は気にしないでください」
……一体どんな仲直りをすると思っているのだろう。変な気遣いはやめて欲しい。
ミューにおかわりのパンケーキを出し、アクセルは自分のパンケーキを食べた。少し冷めてしまっていたが、バターとハチミツが上手く溶け合っていい味を出していた。
昼食後はバルドルに見守られながら、庭で鍛錬することになった。
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