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第2173話(フレイン~アクセル視点)

 ――やっぱり可愛いよ、アクセル……。  こんな風に無邪気な寝顔を見せられると、自分でもどうしようもなく愛おしくなってしまう。  時には腹立たしくなるし、考えが甘くてイライラさせられるし、今回みたいに許し難いこともあるけれど、それでも心の底では決して嫌いになれない。可愛くて可愛くてしょうがない。  そうして何だかんだ許してしまうから、アクセルもあまり学習してくれないのだが……。 「……アクセル」  フレインは弟の耳元に顔を寄せ、そっと囁きかけた。 「いいよ、お前はそのままで。お前が何かやらかした時は、私が何とかする。尻拭いが腹立たしい時もあるけど、それもお兄ちゃんの役目だから……。その辺は私も割り切ることにするよ」 「う……ん……」  弟がまた寝返りを打った。今度はこちらに顔を向け、より安らかに寝息を立て始める。  兄の声が聞こえたから、無意識に嬉しくなっているのだろうか。そういうところも、本当に可愛い……。 「ただし、ちょっと機嫌が悪くなるのは許してね。私だって腹の虫が治まらないことはあるから。そういう時はお互い少し距離を取って、頭を冷やそう。それで、冷静になったら仲直りしよう。……いいよね?」 「兄上……」  眠ったまま、アクセルがこちらに手を伸ばしてきた。  これまた無意識なのだろうが、甘えるように縋りついて来る仕草が、どうしようもなく愛おしかった。意図せずやっているところが、また愛しさを加速させた。  ――もう……この子は本当に……。  我慢しきれなくなり、フレインは眠っている弟をひょいと横に抱き上げた。  そしてそのままソファーに連れて行き、抱き締めながら眠った。  アクセルはわかっているのかいないのか、特に身じろぎすることもなくこちらに擦り寄ってきた。  その顔は、先程よりも明らかに和らいでいた。 *** 「ん……」  翌朝、アクセルはいつもよりだいぶ早く目を覚ました。陽もまだ昇りかけで、朝食を作るには早すぎる。  ――朝の鍛錬でもするか……。  ぼんやりと身体を起こそうとした時、ようやく自分がベッドではない場所で寝ていたことに気付いた。

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