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第2178話

 ピピとカメに朝食をやり、改めてキッチンに戻る。  厚切りの食パンをトーストし、こんがり焼き目がついたら自分たちの朝食は完成だ。 「おはよう、アクセル」  タイミングよくバルドルも起きてきた。  アクセルは朝食の皿をテーブルに並べながら、挨拶した。 「おはようございます、バルドル様。朝食できてますよ。召し上がりますか?」 「ありがとう、いただくよ。……ところで、フレインと仲直りはできた?」 「ええ……もう二度と嘘はつかないって誓いました。ご心配をおかけしました」 「いや、何とかなったならよかったよ。やっぱり兄弟は仲がいいのが一番だからね」  それを聞いて、チクリと胸が痛んだ。  ――バルドル様、ホズ様のこと心配だろうな……。  早くホズに会わせてあげたい。バルドルとホズも、とても仲のいい兄弟なのだ。今はこうして普通に接してくれているが、内心は気が気じゃないだろう。  兄が戻ってきたので、三人で朝食をとることになった。  アクセルは早速、昨日の偵察結果を報告した。 「屋敷の周りは、常に数人のヴァルキリーが警備している状況です。ただ、屋敷の周りを一定時間かけてぐるぐる歩いているから、正門前がガラ空きになる時間帯もあります。その隙に屋敷内に突入することは、充分可能です」 「そっか……。警備しているヴァルキリーに、何かおかしな様子はなかった?」 「いえ、特には……。というか、警備自体に疑問を抱いていない様子でした。普通は『何で私たちがバルドル様の屋敷の警備を?』と思うところですが、そういう感じではなかったです」 「なるほど……本当に、脳死の子が増えちゃったんだね」  バルドルがフォークを置き、ゆっくりとコーヒーを口にする。 「ヴァルキリーと言えば『父上(オーディン)の娘たち』っていう優秀な子たちだったのに……それが今じゃ、ただ『気位が高いだけの子』になっちゃって……困ったものだよ」 「でも、何も考えていないなら逆に追い払うのも簡単なのでは? 囮か何かをけしかけて挑発してやれば、すぐに持ち場を離れるような気がします」

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