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第2180話

 細目で頬骨が張り、髪も黒く縮れてところどころ禿げている。顔の至るところに火傷のような跡があり、赤く腫れ上がっている部分も多かった。  どう贔屓目に見ても美丈夫とは言い難く、全体的にみすぼらしく痛々しく見えてしまう。 「これがロキの姿なんですか……?」 「そうみたい。随分ひどい姿になってしまったね。死者の国での拷問が余程効いたのかな」 「拷問って……」 「ロキは罰として拷問を受けていたって言っただろう? 以前はもう少し見られる姿だったけど、これじゃ変身していないと人前に出られないだろうね」 「…………」  アクセルは無言で水面を見つめた。  本当の姿を表したロキは、面白くなさそうにパンやチーズを口に運んでいた。  ――何というか、世の全てに恨みを抱いているような顔してるな……。  冷静に考えれば、死者の国での拷問も、その結果醜い姿になってしまったのも、全てロキの自業自得だ。  が、この様子だと「自分が悪い」などとは欠片も思っていないようである。誰かに責任をなすりつけて一番攻めやすいところをターゲットにして、そこから恨みを晴らして行こうとしているように見える。  ある意味、復讐の動機としては一番同情の余地がない。だってただの逆恨みだし。 「あの、ロキって具体的にどんな魔法が使えるんですか? 戦闘力って高いんですか?」  質問してみたら、バルドルは首をかしげて顎に手を当てた。 「どうだろう……? 考えてみれば、実際にロキが戦うところは見たことがないな。ロキはいろんな罠や策を仕掛けるのが得意だから、直接戦闘をするタイプじゃないのかも」 「え? じゃあ今すぐ屋敷に乗り込んでロキを倒しちゃえば、全部解決じゃ……いでっ!」  そう言った途端、兄にパカンと頭を殴られた。  本気で怒っているというより、呆れているようだった。 「お前、何言ってるの。考えナシもほどほどにしなさいよ」 「う……」 「直接戦闘するタイプじゃないってことは、その分屋敷内にありとあらゆる罠が仕掛けられているってことなんだよ。足を踏み入れた途端、即死する罠だってあるかもしれない。それくらい気づきなさい」 「す、すみません……」

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