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第2181話

「それに、屋敷の周りはヴァルキリーが警備してるんだろう? お前は隙だらけだったって言ったけど、わざと隙を作っている可能性は十分にある。もしかしたら屋敷に誘い込むための罠かもしれない。安易に屋敷に突入するのは危険だ」 「……はい、すみません……」  思いっきりダメ出しされて、アクセルはしょぼんと肩を落とした。ちょっとしたアイデアのつもりだったのだが、やはりそう簡単にはいかないようだ。 「まあでも、屋敷が危険なことになってるのは想像に難くないね」  水面を覗き込みながら、バルドルが言う。 「こうなってくると、ますますホズがどうしているか気になってくるな。危険な屋敷の中で当たり前に生活しているとは考えにくいし……。もう少し様子を探れればいいんだけど」 「この水鏡? とやらで見ることはできないんですか?」 「……今の時点では、自由な場所を探るのは難しいな。以前はもっと見たい場所をハッキリ見られたんだけど、今はまだ魔力が足りなくて……」  バルドルが自分の手のひらを見つめる。 「だいぶ調子は戻ったはずなんだけどな……。いつまで待てば完全回復するんだろう」 「焦ってはいけませんよ、バルドル様。無理をするとロクなことになりませんから、今はできる範囲で行動しましょう。水鏡以外で、何か使えそうな魔法はありませんか?」  兄がやんわりと諭している。  バルドルは「うーん」と難しい顔で眉間にシワを寄せ、苦し紛れに答えた。 「簡単な魔法具なら作れるかもしれない。試してみないとわからないけどね」 「じゃあ、探索に便利な魔法具の作成を目指しましょう。危ない場所を知らせてくれるお守りとか、罠を自動解除してくれる小道具とか、そういうのが作れたら屋敷内も探索できますので」 「……わかったよ、頑張ってみる」  バルドルが頷いたのを見ると、今度はこちらに向かって兄は言った。 「それとお前、くれぐれも勝手な行動をするんじゃないよ。次変なことしたら、今度こそお兄ちゃん許さないからね」 「は、はい……わかってます」  改めて釘を刺され、アクセルは縮こまりながら返事をした。

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