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第2183話
これでもかと釘を刺され、アクセルは強制的に留守番させられる羽目になった。
バルドルと一緒だから寂しくはないけど、随分と信用を失ってしまった気がする。
――仕方ないか……俺の自業自得だしな……。
軽く溜息をつき、キッチンの片付けを再開した。
ついでにコンロや流しを掃除し、食料庫の整理も行う。昨日まではたんまりあった食料が、もう底を尽きかけていた。
市場のおかげで食料は手軽に手に入るようになったけど、それでもちょっと間を置くとすぐ食料がなくなってしまう。
うちはよく食べる人が多いから、こまめに買い出しに行かないと……。
「ねえアクセル、ちょっと散歩に行かない?」
バルドルがキッチンにやってきた。
彼は庭でピピやカメを眺めていることが多いのだが、ただボーッとしているのも手持ち無沙汰であろう。
アクセルは手を拭いて立ち上がった。
「いいですよ、どこに行きましょうか」
「それはアクセルが決めてくれないかな。私はヴァルハラにはあまり詳しくないから」
「あー……じゃあ、市場に買い出しにでも行きます? そこまでなら兄も怒らないでしょうし」
早速買い物籠を持ち、戸締りをして市場に向かう。
道中、スタジアムの前を通りかかったので、バルドルに説明してやった。
「今は死合いも中止のままですけど、普段は俺たちここで戦ってるんですよ。毎日誰かしらの死合いをやってるので、通りかかるだけで歓声が聞こえてきたものです」
「そうか……。いつかアクセルとフレインの死合いも見てみたいね」
「俺も早く死合いをしたいですよ。でもヴァルキリーから『当分中止』ってお達しが出て以来ずっと中止されたままで。棺や泉の使用状況もわからないから、再開の目処は立っていないんですよね」
「棺……って、死んだ戦士が復活するっていう、専用の魔法具かい?」
「ええ、ちょっと覗きに行ってみます?」
アクセルはバルドルを連れて、オーディンの館前まで行ってみた。
入口からチラッと覗いてみたのだが、手前の棺は全部閉まっており、奥に並んでいる棺もほとんどが使用中の状態だった。
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