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第2187話

「それよりバルドル様。俺、庭で丸太切りの練習したいです。ちょっと丸太飛ばしてもらえませんか?」 「うん、いいよ。魔力もだいぶ回復したから、昨日よりいっぱい飛ばせると思う」  早速アクセルは庭に出て、昨日兄が輪切りにした丸太を集めてきた。棒状の丸太をこれ以上切っても仕方ないので、今回は切られた丸太を障害物代わりに飛ばしてもらおう。  軽く準備運動をして両手の小太刀を軽く振り、バルドルに術の使用をお願いする。  まずバルドルは丸太を三つ浮かせ、それを順番にヒュンヒュンと飛ばしてきた。 「……ハッ!」  素早く小太刀を振るい、飛んできた木材を斬りつける。  確実な手応えを感じ、三つともスパッと切ることができた。  ――よし、これくらいなら楽勝だな。もう少し増やしてもらうか。  今度は一気に一〇個飛ばしてもらうことにする。  バルドルは少し困惑していたが、アクセルは構わず小太刀を構え直した。 「ええと……じゃあ行くよ?」  ヒュン、とバルドルが一〇個の木材を飛ばしてきた。  最初の五個くらいは動体視力を駆使して切り落とせたが、残り五個は身体が追いつかず、結局切り損ねて自分自身で受ける羽目になった。 「いっ……!」  丸太のひとつが思いっきり額に当たり、一瞬くらっとめまいがする。 「ああ、ごめんね。大丈夫かい?」 「だ、大丈夫です……俺が未熟だっただけなので……」 「やっぱり、いきなりステップアップは無謀だよ。少しずつ増やしていった方がいいって」 「いや……でもこれ、狂戦士状態だったら全部切れたような気がするんですよね。次は狂戦士になってやってみますから、また同じように……」 「何してるんだい?」  ちょうどそこに、兄・フレインが帰ってきた。  アクセルは痛む額を押さえながら、庭に入ってきた兄を出迎えた。 「兄上、おかえり。今バルドル様と特訓してたんだ」 「それは見ればわかるけど。……で、お前は何をしてたの?」 「何って、丸太を切ってたんだよ」 「切ってたって、これが?」 「えっ?」  兄が地面に落ちた木材をひとつ拾い上げる。

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