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第2189話
「うーん……もしかしたら父上も、ヴァルキリーたちの実力をあまり信用していないのかも。ラグナロク前は優秀な子も多かったけど、今はちょっとその……頭が足りない子ばかりになっちゃったからね。ロキにいいようにやられるだけだと思ったんじゃないかな」
それは大いに考えられる。
仮にオーディンがヴァルキリーたちに「ロキを倒してこい」と命令したとしても、考えナシに屋敷に突入して全滅するのがオチだろう。それでは意味がない。
――というか、オーディン様にも信用されてないんじゃ、もうヴァルキリーなんている意味ないんじゃないか……?
オーディンの娘たちという立場があったからそれなりの仕事を任されていたのに、今やそのオーディンから「仕事を任せられない」と思われているのである。
あれだけ上から目線で威張り散らかしていたヴァルキリーたちが、既存の仕事すら没収されて手持無沙汰になっていく。それを想像したらやや滑稽に思えてきた。
もしかすると、このゴタゴタが解決したらヴァルハラの管理者ですらも降ろされるかもしれない。それはそれでこちらにとって非常に都合がいい。
そんなことを考えていると、兄は小さく息を吐いて言った。
「……まあとにかく、ロキのことは私たちで何とかしましょう。オーディン様がそんな状況じゃ、他に頼れる人もいませんし」
兄が輪切りにされた丸太をひょいと放り投げた。
そして素早く太刀を抜き放つと、落ちてきた木材をスパッと真っ二つに切った。
「とはいえ、私自身も太刀筋がブレ気味です。狂戦士モードがどれくらい長続きするかも計っていませんし、今は実力を戻すことを最優先にした方がいいでしょうね」
「あ、じゃあケイジ様の修行場にでも行かないか? 最近あまり行けてなかったし、あそこならみっちり鍛錬できるぞ」
「ケイジの修行場……? あそこは行くだけでも大変だから好きじゃないんだけど……まあ、手っ取り早く実力を戻すのはそれが一番か」
「よし、じゃあ今から行こう。バルドル様も行きますよね?」
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