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第2192話

 下着一枚になったところでバルドルが大判のバスタオルを広げ、こちらの身体を覆ってくれた。 「ほら、早く身体拭いて。風邪ひく前に」 「す、すみませ……バルドル様、ご迷惑をおかけして……」 「いや、いいよ。私もいろいろ世話になったから、これくらいはね」  バルドルはもう一枚フェイスタオルを取り出し、冷たく濡れた髪をわしゃわしゃと拭いてくれた。凍えた身体に、タオルの暖かさが沁みる。  次にバルドルはアクセルの服を綺麗な岩場に広げて、言った。 「ちょっと待ってね。今服を綺麗にするから」 「え? そんな魔法もあるんですか?」 「うん、生活に必要な基本的な魔法さ。今の私でも使えるはずだよ」 「へえ……」 「だからパンツも脱いじゃってくれない? 濡れたのを穿きっぱなしじゃ気持ち悪いでしょ?」 「えっ? ええ、まあ……」 「ほら、早く。一緒に魔法かけちゃうから」 「は、はい……」  ちょっと躊躇いながらも、アクセルはバスタオルの中で下着も脱いだ。兄以外の前で全裸になるのは初めてだったので、少しドキドキした。  一応バスタオルは巻いているけど、うっかりタオルを落としたらもれなく大事なところもポロリしてしまう。気をつけないと。 「これをこうして、こうして……こう」  バルドルがひょいと服の上で指先を動かしている。  するとパアッと服が発光し、シュウン……という小さい蒸発音と共に服がふわっと膨らんだ。  思わず目をみはっていると、綺麗になった服をバルドルが渡してくる。 「はい、終わり。洗いたてホカホカの状態になったよ」  服を受け取った途端、ほんのり暖かいお日様の香りがしてきた。魔法のドラムで衣服を洗濯した後みたいな、完璧な洗い上がりだった。 「はあ、すごい……あったかい……。バルドル様、ありがとうございます……」 「どういたしまして。風邪ひく前に早く着替えちゃいなさい」  言われた通りアクセルはすぐに下着を穿き、綺麗になった服に袖を通した。  それからバスタオルを外し、生乾きの髪を拭く。 「それにしても……こういう時のアクセルってすごく危ないね」 「……はい?」

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